2022 Fiscal Year Research-status Report
3D motion analysis reducing the physical load of cyclist during actual race
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22K11518
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
松尾 重明 久留米工業大学, 工学部, 教授 (70258599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋田 竜騎 久留米大学, 医学部, 講師 (40754841)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自転車 / 競輪 / コンディショニング / サドルポジション / ハンドルポジション |
Outline of Annual Research Achievements |
具体的内容:自転車競技において高速かつ高強度な運動が求められる競輪を対象とし,選手のパフォーマンスの向上と怪我の予防に利用可能な定量的指標を示すことを目的して研究を行っている.最終的には「選手の怪我を予防し,実戦中のパフォーマンス向上を行う」ことを主眼に置き,実運動によって生じる影響を明らかにしつつ,長期的で計画的にパフォーマンスアップさせるための情報取得を行う. 意義:ペダリング運動において選手の挙動を計測・推定に着目した解析が行われているが,全身運動を考慮したトレーニングや怪我の予防を述べた研究は見当たらない.これまでの同種の研究ではパフォーマンスに偏ったものがほとんどであり,選手のコンディショニングについては全く述べられていなかった.本研究ではコンディションを見ながらパフォーマンス向上を目指すものであり,その意義は高いと思われる. 重要性:長い年月で積み上げられた筋力やパフォーマンスも,間違ったトレーニングや姿勢をつづけると選手生命が短命になる恐れがあるが,本研究を行うことで単なる選手生命延長ではなく,高いパフォーマンスを維持しながら永い選手生活を送ることが可能になると思われる.これにより,我国の競輪選手層のよりレベルアップを図れるものと思われる. 計測器製作については後述の進捗状況にて報告するが,これまで競輪選手とのミーティングや視察を行い,競輪選手のこれまでの怪我やコンディショニング,トレーニング,そして専門理学療法士へのインタビューを実施して現場から真に必要な項目は何かを絞ってきている.また,テスト計測としてアマチュアの自転車競技大会参加者の協力を得て,計測手順や解析方法,改良点など明らかにしてさらなる計測精度向上を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はプロ競輪選手の運動能力を計測しながらパフォーマンス向上と怪我のリスク低減を両立するための新しい解析情報・定量的指標を示すことを目的としている.研究初年度の2022年度計画は選手のパフォーマンスデータを計測できる計測器を製作することを目的とした.当初は自転車そのものを改造し,各種計測器を取り付けデータの計測を行う予定していたが,調査の結果,既に自転車型のハードウェアとソフトウェアが連動するものが存在しており,時間的制限と研究費用節約のため,これを基として計測器製作を進めた.この自転車型計測器は計測器としての校正も行われており,計測器として十分な条件を満たしていることを確認している.自転車型計測器(Wattbike,GB)はサドル,ペダル,ハンドル位置を変更でき,各種センサにてペダル運動時のPower, Force, Cadence他など計測可能であり,また外部心拍センサも組み込むことが可能なっている.さらに筋電データ(Delsys, USA)も取得し,前述した機器類の全データはCSVデータとして抽出し,その後の解析が可能となっている.さらに現在,クランク角度およびペダル踏力を計測する機器の追加を検討しており,これを組み込むことで角度ごとの解析が可能となる予定である.2023年度はこれらを組み込んだ計測器を完成し,目的達成する予定である. 2022年度の時点で用意できた計測器により,サドル位置の変化による筋出力データを解析し,サドル位置の重要性について学会発表(SOBIM2022)や,競輪選手および競輪協会地元支部,地元自治体に対してそのデータを報告する報告会を行い,これまで感覚的にポジショニングを行ってきたものを科学的な解説が重要であることを説明した.また,計測と同時に共同研究者(医学部整形)により,医学的検診をおこないコンディショニングも進めてきた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,追加で検討中の計測器を付加し,計測器の完成を行う.完成後すぐに競輪選手の計測が可能となるように,計測手順と解析方法の確定を行う.申請・採択された時点で予定していた研究分担者(工学部1名および医学部1名)のうち工学部1名が業務の都合により離脱し,研究代表者と医学部1名の計2名により進めてきた.計測器製作・開発は研究代表者が行い,個人的な研究グループの協力を得ながら完成を目指す.また,研究分担者の医学部1名が国外への留学が決定したため,同医学部の1名に研究分担者交代を行った.新しい研究分担者には前任者と同じく,コンディショニングを担当してもらい,診察する手法,機器など同一のものを利用する.研究分担者の変化はあったものの,進行は予定通りに進んでおり,今年度中旬以降には計画通り競輪選手の計測を行うことになっている.現在,研究進行に伴い,倫理委員会に申請中である.被験者(競輪選手)についても競輪選手協会を通じて募集し,内容を理解したうえで参加希望者を募っており,すでに多くの参加希望者を得ている.選手の個人情報の管理も厳密に行い,漏れることの無いよう注意を払う.医学部によるコンディショニングもすでに状態を事前診察(現在怪我をしているかなどのインタビューなど)している状況であり,倫理委員会の審査が通り次第,本格的な診察を行うこととなっている.本研究は本研究代表者および所属大学の他,他大学医学部,地元競輪選手会,地元自治体との共同研究として推進される.
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Causes of Carryover |
計測器作成において,多様な機種について検討し選択をしていた.見積もりを行ったが,入手に時間がかかることから,次年度購入に切り替えたため.
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