2022 Fiscal Year Research-status Report
筋収縮の電気生理学的・熱力学的特性を考慮した神経筋電気刺激法の確立と効果検証
Project/Area Number |
22K11524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 一茂 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00451849)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋疲労 / 周波数 / 糖代謝 / 筋ポンプ作用 / 筋肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間1年目である令和4年度は、高頻度刺激と低頻度刺激を組み合わせた刺激パターンのNMES(以降、変調型NMESとする)が筋疲労と代謝に及ぼす効果を解明することを目的とした。得られた成果は次の通りである。 1) 変調型NMESを前脛骨筋と大腿四頭筋にそれぞれ20分間適用したところ、発揮トルクは初期値(随意最大トルクの15%)の半分程度にまで低下した。しかし、この低下率は高頻度刺激(60 Hz)を単独で与えた場合よりも有意に小さく、低頻度刺激(20 Hz)単独と同等であった。 2) NMESを前脛骨筋に20分間適用した前後における随意最大トルクの変化(低下)率について、刺激パターンによる違いは認められなかったが、随意最大トルク発揮中の前脛骨筋の活動量は、低頻度刺激を単独で与えた場合のみ有意に低下していた。 3) 熱流補償温度計で測定した前脛骨筋と大腿四頭筋の温度(皮下1 cm)は20分間のNMESによって上昇した。しかし、変調型NMESによる前脛骨筋と大腿四頭筋の温度上昇の程度は高頻度刺激単独と比較して有意に大きかった。さらに、大腿四頭筋では変調型NMESによる温度上昇の程度が低頻度刺激単独と比較しても大きかった。 4) 変調型NMESを大腿四頭筋に20分間適用しても、安静条件との比較で有意な血糖降下作用は確認できなかったが、糖分解の指標である血中乳酸濃度は安静条件と比較して有意に上昇していた。一方、単独の低頻度刺激や高頻度刺激では血中乳酸濃度の上昇が小さく、安静条件との比較で有意な差が認められなかった。 5) 以上の結果から、変調型NMESは従来型の高頻度刺激よりも筋疲労を軽減し、筋エネルギー代謝を亢進する効果が高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト実験および動物実験(予備実験)が当初の予定通りに完了したため。ただしヒト実験については予想よりも個人差が大きかったことから、今後サンプルサイズを増やすことも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は当初の予定通り、複合型NMESによる筋ポンプ作用の促進効果について検討する。
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Causes of Carryover |
学会大会の開催や事務作業がオンライン化されたことにより、旅費・人件費として想定していた分が未使用となった。研究自体は当初の予定通りに進められているため、計画変更は考えていないが、未使用額は各実験におけるサンプルサイズの増加や国際学会大会の旅費・参加費などといった形で効率的に執行する予定である。
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