2023 Fiscal Year Research-status Report
筋収縮の電気生理学的・熱力学的特性を考慮した神経筋電気刺激法の確立と効果検証
Project/Area Number |
22K11524
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 一茂 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00451849)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 筋疲労 / 周波数 / 糖代謝 / 筋ポンプ作用 / 筋肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間2年目である令和5年度は、高頻度刺激と低頻度刺激を組み合わせた刺激パターンのNMES(以降、複合型NMESとする)における筋ポンプ作用の亢進効果を検証することを目的とした。 健康な男女を対象として、下腿部の周囲長と体積、細胞外液比、筋硬度(後面)を測定した。また、下腿部後面の皮膚温と組織酸素化レベルも測定した。さらに、足底屈筋群の単収縮特性(ピークトルク、ピーク到達時間、半弛緩時間)、随意最大トルク、トルクの立ち上がり速度(Rate of torque development, RFD)についても測定した。これらの測定は、70分間の静的立位後と、それに続く30分間のNMES後にも行った。NMES適用中の姿勢は座位とした。得られた結果は次の通りである 1) 70分間の静的立位により、下腿部の周囲長と体積、細胞外液比、筋硬度は増大した。一方、下腿部後面の皮膚温と組織酸素化レベルは低下した。単収縮のピークトルクと随意最大筋力は低下したが、RFDに有意な変化は認められなかった。単収縮のピーク到達時間と半弛緩時間は増大した。 2) 下腿部後面の組織酸素化レベルは、30分間のNMES後に増大し、おおむね実験開始時のレベルに戻った。こうした変化に刺激パターンの違いは認められなかった。 3)複合型NMESの適用により、下腿部の周囲長はやや増大する傾向が認められた。また、単収縮の弛緩時間は減少する傾向があった。高頻度NMESを適用した場合、これらの変化は認められなかった。また、その他の項目について、複合型NMESの適用による変化は認められなかった。 以上の結果から、複合型NMESは従来型の高頻度NMESとの比較で、筋ポンプ作用の亢進効果が必ずしも高くないことが示唆された。複合型NMESはエクササイズとしての効果が高いため、活動筋の血液量や血流量が増大してしまうことがその一因と考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験が当初の予定通りに完了したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は当初の予定通り、複合型NMESを継続的に適用することによる筋機能や筋サイズの変化について検討する。
|
Causes of Carryover |
学会大会への参加を見送ったことや事務作業がオンライン化されたことにより、旅費・人件費の一部が未使用となった。未使用額は、円安の影響により暴騰している論文の掲載料やオープンアクセス化費用に充当する。
|