2022 Fiscal Year Research-status Report
Effects of resistance training-induced pyruvate production on glycoxidative metabolism.
Project/Area Number |
22K11526
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
榎木 泰介 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70392701)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 筋力トレーニング / エネルギー代謝 / ミトコンドリア / 乳酸 / ピルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
強い力発揮を特徴とする筋力トレーニング(筋トレ)は、アスリートにとってだけではなく、健康のための運動の1つとして広く一般人にも用いられている。筋トレの主たる効果は、骨格筋のタンパク質合成の促進による筋肥大である。大きくなった筋肉は、より大きな力を発揮することが可能であり、骨格筋量の維持はリハビリやQOLの向上にも期待される。 筋トレの際に筋肉が利用するエネルギーは、主に糖質の分解によってまかなわれる。特に解糖系が動員され、その結果、筋トレを行うと多くのピルビン酸が産生される。このピルビン酸は乳酸に転換され、筋肉から血中へ放出されるが、一部は筋肉内に留まりミトコンドリアに取り込まれる。筋トレそのものはミトコンドリアを積極的に利用するものではないが、筋トレで作られたピルビン酸が副次的にミトコンドリアのエネルギー代謝機能を向上させる可能性があると考えられる。 これまでの先行研究では、薬理学的/物理学的手法で骨格筋内の糖代謝を活性化させた結果、ミトコンドリアの代謝機能が向上することがわかっている。しかし、その起点としてピルビン酸がどのように関与しているのかについて検討した研究は少ない。特に、培養細胞や単一筋ではなく個体を用いて、実際に運動を行って(生理学的範囲内の変化で)、ピルビン酸およびミトコンドリアの取り込みを検討した知見は少ない。そこで本申請では、実験動物を対象に、ヒトに応用可能な範囲の運動を負荷し、骨格筋内の適応変化について検討を行った。現在のデータからは、筋トレによるピルビン酸の増加が、ミトコンドリアの取り込み部位とその調節機構に影響を与える可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も、新型コロナウィルス感染症への対応に伴い、大学の入構制限や感染症対策によって、実験の一部を行うことができなかった。今年度は新たな測定方法の試行を計画していたが、それをいったん控えて、これまで研究室で測定してきた項目について、基礎データの収集に努めた。そのような状況の中でも、ミトコンドリアのピルビン酸取り込みに関する興味深い知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年目に実施予定であった測定評価方法の確立を、次年度へ延期して実施する予定である。一方、この間におおよその基礎的なデータを収集することができたので、2年目には新実験方法の試行に取り組む予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由)2022年度も引き続き新型コロナウィルス感染症への対策などによって大学への入構や研究活動が制限されたこともあり、当初予定していた新規測定実験が試行できなかった。次年度には延期した実験もあわせて行う予定にしているため、研究費を次年度に持ち越した。 (使用計画)まず1年目に実施予定であった新規測定実験を行う。2年目に使用予定の研究についても、並行して実験を実施する予定である。
|