2023 Fiscal Year Research-status Report
運動に伴い自然発生する視空間情報は海馬に対する運動効果を仲介するのか
Project/Area Number |
22K11528
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西島 壮 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (10431678)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 運動 / 海馬 / 空間認知 / 視覚 / 体性感覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、運動が海馬神経機能を高める機序として、「視空間情報」が関与するか明らかにすることを目的としている。 本年度(2年目)は、昨年度に行った実験1の発展研究として、一過性運動が各脳部位の神経活動に及ぼす影響について、その脳部位が空間認知を担うか否かに着目して詳細な研究を進めた(実験3)。その結果、空間認知を担う脳部位はロタロッド走で神経活動が活性化しないことが明らかとなり、これは実験1を支持するものであった。 さらに運動が海馬神経活動を活性化させるトリガーとして空間情報の知覚に着目し、空間情報入力の遮断が運動効果の発現を抑制するか検証した(実験4)。マウスは視覚に加えて、体性感覚(ヒゲ)も用いて空間を認識している。そこで一過性のトレッドミル走行実験を行う3日前に、麻酔下で眼球摘出(視覚入力の遮断)、あるいはヒゲの切断(体性感覚入力の遮断)を施した。実験の結果、仮説とは異なり、空間情報の入力を遮断しても、トレッドミル走により海馬神経活動が活性化することが明らかとなった。しかしながら、目を閉じても自身の空間位置を脳内で表象することができるように、本結果が運動が海馬神経機能を高める機序として「視空間情報」の関与を否定するものではないと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度、当初計画以上に進展することができたことにより、今年度も着実に研究を進めることができた。結果、当初の計画以上に進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は当初計画の通り、運動中の視空間情報を実験的に操作し、運動が海馬神経機能に及ぼす影響が視空間情報の大小により左右されるか、検証を続ける。具体的には、トレッドミル走の走路長を操作する実験と、ロタロッド走でも空間移動を体感できるよう操作する実験を行う。
|
Causes of Carryover |
実験が当初計画以上に順調に進行したため、消耗品の購入が抑えられた。
|