2023 Fiscal Year Research-status Report
Assessment of arrhythmia during breath-hold diving using heart rate variability parameters in middle-aged and older adults
Project/Area Number |
22K11550
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
藤本 浩一 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10287815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千足 耕一 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70289817)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 素潜り / 息こらえ潜水 / 心拍変動 / 不整脈 / 中高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、延べ42名(19から53歳)からの協力を得て、海洋における素潜り活動中の心拍間隔等の計測を実施した。各種データに関する詳細な解析は進行中であるが、現段階では、事例として以下のような傾向が認められた。複数日に渡って計測を実施した研究協力者のうち2名(52歳男性、40歳女性)については、単発的に1つ前の心拍間隔より±500msec.以上の心拍間隔の変化が認められた日と認められなかった日が存在した。そこで、この2事例について心拍間隔を調整している副交感神経系および交感神経系の活性度について、素潜り活動前の値を比較したところ、52歳男性の事例においては、変化が認められた日は副交感神経系の活性度が低く、交感神経系の活性度が高い傾向が認められた。一方で、40歳女性の事例については、変化が認められた日は副交感神経系の活性度が高く、交感神経系の活性度が低い傾向が認められ、副交感神経系および交感神経系の活性度については、52歳男性の事例と逆の傾向であった。予備実験の傾向から、当初は52歳男性の事例のように、潜水前の副交感神経系の活性度が低く、交感神経系の活性度が高いことが、単発的な心拍間隔の変化を誘発しやすいと推測されたが、40歳女性の事例のように逆の傾向も存在した。しかしながら、2事例ともに単発的な心拍間隔の変化が認められた日は、副交感神経系と交感神経系の活性度の変化が認められなかった日と比較して、異なる傾向を示すことが確認された。したがって、素潜り活動前の自律神経系の状態と活動中の心拍間隔の変化との間には何らかの関係性があると考えられるものの、両パラメーターの関係性については、個人差、性差、心理状態等の自律神経系の活性度に影響する要因も加味して検討する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題の初年度である令和4年度においては、COVID-19の感染拡大が終息しておらず本邦におけるダイビング活動も全般的に縮小傾向にあったこと、さらに計測機器の再検証の必要性が生じたことから、当初予定どおりに研究を進捗できず、令和5年度が実質的な研究の初年度となったため、進捗は基本的に1年遅れている状態である。また、データ解析においても想定外に時間を要しており、本件については当初使用予定であった心拍間隔計測用のウェアラブル機器のバージョンアップに伴って水中での計測が不可能となったことから、旧バージョンの機器を使わざるを得ない状況となったことも影響し、計測精度が不安定であることから、1回の計測あたり数時間分の心拍間隔データを目視で確認し、アーチファクトによる値を削除してゆく作業が必要となったことが主たる原因である。さらに、令和5年度より、研究協力者の自由意志によって海洋で実施する素潜り活動に同行させてもらう形で計測を実施し、この研究手法は研究期間中を通して不変とするが、同行したものの、天候や海況に大きく影響されて素潜り活動が実施できず、計測が実施できなかったケースが我々の想定以上に多かったことも、サンプル数の確保という観点から進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度も令和5年度同様に、研究協力者の自由意志による素潜り活動に同行させてもらう形でサンプル数を確保してゆく方針であるが、研究費残額から考えると機会や期間を絞って、旅費の支出額を可能な限り抑えつつサンプル数を確保する必要がある。また、想定外に時間を要しているデータ解析については、心拍間隔計測用のウェアラブル機器の計測精度向上が課題のひとつとして挙げられるが、ウェアラブル機器は毎年のように機能が著しく向上しており、現在使用している機器よりも安定的にデータが取得できる可能性が非常に高い機器もあるので、このようなウェアラブル機器に関する精度検証および新規導入も視野にいれた改善も、研究費残額との兼ね合いも考慮しつつ継続して実施する。
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Causes of Carryover |
令和6年度の研究費は、進捗状況と研究費残額との兼ね合いから、研究協力者の自由意志によって海洋で実施する素潜り活動に同行させてもらう際の旅費、および心拍間隔計測用のウェアラブル機器について、より安定的にデータが取得できる機器に関する精度検証および新規導入のための物品費に集中させて使用する必要が生じたため。
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