2022 Fiscal Year Research-status Report
廃用性筋萎縮におけるミトコンドリア機能障害を抑制する分子機構の解明
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22K11557
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Research Institution | Hirosaki Gakuin University |
Principal Investigator |
宇田 宗弘 弘前学院大学, 看護学部, 准教授 (80549262)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / カルシウム / mTORC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の不活動は筋萎縮を生じさせる。これまでの研究では,不活動により萎縮した筋におけるミトコンドリアの機能障害が筋萎縮を促進すると考えられている。ミトコンドリア機能障害のメカニズムの一因としては,ミトコンドリアによる過剰なカルシウムイオン(Ca2+)の取り込みが挙げられている。そこで2022年度は,不活動による筋萎縮の程度が小さい足底筋におけるミトコンドリアによるCa2+の取り込みに関わるタンパク質発現の変化を検討することで、ミトコンドリアによるCa2+の取り込みが、筋萎縮の一因であるのか否かを明らかすることが目的であった。ミトコンドリア によるCa2+の取り込みに関わるタンパク質であるミトコンドリアカルシウムユニポー ター(MCU)の発現は不活動により有意に増加した。またmitochondrial calcium uptake protein 1(MICU1)の発現は不活動により有意に減少した。さらにMICU1発現とMCU発現の比率の低下はミトコンドリアによるCa2+の取り込みを増加させることが報告されていることから、この比率を検討した結果、不活動より有意に低下した。これらの結果から、不活動による筋萎縮の程度が小さい足底筋では、不活動によりにミトコンドリアによるカルシウムの取り込みが増加することが示唆された。したがって、ミトコンドリアによるカルシウムイオンの取り込みが、筋萎縮の抑制に働いている可能性が考えられた。 そこで、さらに筋タンパク質の合成とミトコンドリアの生合成に関わる細胞内シグナル伝達経路であるmTORC1経路のタンパク質発現とリン酸化の程度を検討した結果、足底筋において不活動によってmTORC1経路が活性化していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、不活動による筋萎縮の程度が小さい足底筋において、ミトコンドリアによるカルシウムイオンの取り込みに関わるタンパク質発現の変化を検討することに加え、筋タンパク質の合成とミトコンドリアの生合成に関わる細胞内シグナル伝達経路であるmTORC1経路のタンパク質発現とリン酸化の程度を検討することができた。そのため当初の計画以上に進展していると考えられる。2022年度において、mTORC1経路の分析は予定していなかったが、当初の仮説と異なる結果を得たため、mTORC1経路の分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリアによるCa2+の取り込みの増加は、ピルビン酸の酸化を促進する。そこで、2023年度は不活動による代謝の変化とmTORC1経路をつなぐ代謝経路および細胞内シグナル伝達経路の分析を行う予定である。代謝経路についてはミトコンドリアにおけるTCAサイクルの酵素や細胞質の代謝酵素の発現を検討し、細胞内シグナル伝達経路についてはmTORC1の上流に位置するAKTや、AKT以外のmTORC1経路を活性化するタンパク質発現とリン酸化について検討する。研究が順調に進んだ場合は、今年度中に論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
前倒し支払い請求を行ったため、わずかに次年度使用額が生じた。しかし概ね予定通りに研究費を使用している状況と言える。2023年度の研究費は、主に消耗品の購入に使用する。また研究が順調に進んだ場合は、論文の英文校正と出版費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)