2023 Fiscal Year Research-status Report
ウェアラブル端末による都市温熱環境と人体の熱応答に関するビッグデータ収集の試み
Project/Area Number |
22K11568
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
高山 成 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40403373)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 暑熱 / ウェアラブル / ヒートアイランド / 代謝産生熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
オリンピックのようなイベントをはじめ,ヒートアイランドが進む都市域におけるスポーツなど人間が暑熱条件下で活動する機会が増えており,事前に暑さに馴れる「暑熱順化」の重要性が改めて注目されている.しかし,屋外環境において活動するヒトが実際にどの程度の熱負荷に曝されており,またそれに対応してどういった条件・タイミングで暑熱順化オン・オフが切り替わるのか,十分に理解が進んでいるとは言い難い.なぜなら,都市気象学的なアプローチにおいては,都市域における気象要素の分布が極めて複雑かつ不連続であるため (高山ら,2015),観測密度の不足やモデル推定による不確実性が避けられない.他方,生気象学あるいは温熱生理学的なアプローチにおいては,人工気象室や温浴など実験室で被験者に熱負荷を与える実験手法が主体となる所謂実験遂行上の制約のためである. 最近,安静時から最大運動まで様々な強度で酸素消費量の測定が可能で,比較的安価なポータブルのウェアラブル代謝分析装置が開発され,その測定の信頼性や有効性の検証が行われている (ALEXANDER et al., 2020).本報告では屋外運動時の酸素消費量について,ウェアラブル呼気ガス分析装置による測定の妥当性の検証を行った. 検証の結果,PESと実有効発汗量との比較からMW-1100によるVO2測定値は,実際よりVO2を過大に見積もっている可能性が高い.ウェアラブル計測装置の発展は,都市気象学的,生気象学,温熱生理学的側面からのアプローチに寄与し,“市中を人体熱負荷曝露の実験フィールド”にできる可能性を持つ.ウェアラブル端末を活用した気象要素と人体の温熱生理反応要素の同時観測より,熱負荷-熱放散のプロセスに関する情報を一定の品質で収集できる「人体熱収支観測フレーム」を模索していく.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は当該プロジェクトに関連した研究テーマを、卒業研究あるいは修士論文テーマとして選択する学生がおらず、夏季に予定していた実験が遅れたことが研究の進捗が遅れている大きな要因となっている。来年度以降、実験に携わる人員の確保が重要になってくるものと思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた計画を進めていく。 ウェアラブル端末を使用した運動強度(代謝産生熱量)測定法の開発、四肢・胴体の個別運動量を考慮した5接点SET*モデルによる潜在有効発汗量の推定、人体の熱負荷-熱応答ビッグデータ収集フォーマットの開発、加速度センサと携帯端末を利用した代謝産生熱量計測法、小型の汎用型CO2ガス分析計を利用した実験用呼吸量測定装置の開発、発汗量測定センサ(濡れセンサ?)四肢・胴体・頭部 など。
|
Causes of Carryover |
被験者による夏季の実験ができなかった遅れの影響である。次年度に計画通り執行を予定しており特に問題はない。
|