2022 Fiscal Year Research-status Report
体幹持久力テストの体力測定としての有用性の検証と標準値作成に関する研究
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22K11586
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小山 貴之 日本大学, 文理学部, 教授 (80579110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 良介 日本大学, 文理学部, 助教 (00779928)
松田 雅弘 順天堂大学, 保健医療学部, 先任准教授 (40453485)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 体幹屈筋持久力テスト / 傾斜角度 / 信頼性 / 級内相関係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで,上体起こしに変わるテスト方法として体幹屈筋持久力テストの有用性を検討してきたが,テスト姿勢である背もたれの傾斜角度については先行研究でも45°から60°までばらつきがあり統一の見解がない.そこで,本研究では最適な傾斜角度を検討するため,3つの傾斜角度を用いて測定の信頼性を明らかにすることを目的とした.対象は大学で体育学を専攻する健常成人学生15名(男性8名,女性7名)とした.体幹屈筋持久力テストの傾斜角度を45°,50°,55°とし,検者内信頼性の検証を行った.同一角度を2週間で間隔を空けて2回測定することを1クールとして,計6週間・3クールのクロスオーバー試験による体幹屈筋持久力測定を行った.各クールに背もたれ角度を45°,50°,55°のいずれかに無作為割付した。得られた各クール2回の測定値から,各傾斜角度における級内相関係数(ICC)を算出した。ICCによる信頼性検定の結果、全傾斜角度においてICC(1, 1), ICC (1,2)ともに0.907ー0.985のalmost perfectの信頼性を認めた。本研究の結果、体幹屈筋持久力テストにおいて用いられる45°、50°、55°の3つの傾斜角度すべてで非常に高い信頼性が認められた。いずれの角度でも信頼性の高い測定が実施可能であることが示された。ICC(1, 1)でも高い信頼性が認められたことから、測定の実施回数は1回で十分と言える。保持時間は45°が最も短く、55°が最も長くなった。高齢者対象では55°、アスリート対象では45°といったように、対象者の属性によって実施角度を変更することも検討する必要がある。今後は、各傾斜角度における標準値作成、各傾斜角度の結果と他の体幹機能テスト等との相関分析による妥当性検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた研究内容を実施するための準備、予備実験を予定通りに実施できた。3クール6週間のデータ取得のため、研究対象者の獲得が最も課題であったが、応募により15名の研究協力が得られたことで、本実験も予定通りに行えた。一方で、検者内信頼性のみを検討し、当初予定であった検者間信頼性の検討は中止した。その理由として、時間測定の開始と終了の判断が明確なため、予備実験の過程で検者間信頼性は検証する必要がないと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度研究の結果、3つの傾斜角度すべてで高い信頼性が得られたことから、令和5年度では、各傾斜角度を用いた保持時間とその他の体幹機能テストとの関連性を検討することで、体幹屈筋持久力テストの妥当性について検証を進める。体幹安定性の指標としてClosed Kinetic Chain Upper Extremity Stability test 及びUpper Quarter Y Balance testを,運動パフォーマンスの指標として加速度計ジャイロスコープを用いたジャンプテスト(カウンタームーブメント,スクワット,リバウンド)を測定する。持久力テストの保持時間と各体幹機能テストとの関連について分析し,構成概念妥当性の検討を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度で購入予定であった背もたれ台と測定用マットについて、現在所有の台数で実験遂行が可能であったため、購入を先送りした。令和5年度では,体幹屈筋持久力テストの持久保持時間の妥当性について検証するため,複数の体幹機能テストやフィールドテストとの関連性を明らかにする。今後の研究計画上,追加の背もたれ台,測定用マットの他,現在所有している加速度計が令和5年9月まででサポートおよび使用終了となることが販売業者から報告されており,新規での別製品購入をする必要が生じてきた。このため,研究計画を万全に遂行するうえで,令和4年度分の残額を上記背もたれ台,測定用マット,加速度計の費用の一部として,令和5年度配分と合わせて使用する予定である。
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