2022 Fiscal Year Research-status Report
女性登山者の事故予防を目的とした適切な休憩と行動食摂取提案のための基礎的研究
Project/Area Number |
22K11624
|
Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
野瀬 由佳 安田女子大学, 家政学部, 講師 (60634194)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 黄体期 / 血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,これまで,低強度の歩行時において,黄体期の尿中アルドステロンが卵胞期に比較し有意に高く,卵胞期の安静時に比較して5倍になることを報告した。レニン - アンジオテンシン - アルドステロン系の活性化は循環血漿量を増大させ,血圧を上昇させる。そこで2022年度は,月経周期の違いが階段歩行後の血圧に及ぼす影響を検討した。 対象者は,正常な月経周期を有する運動習慣がない健康な成人女性8名とした。排卵検査薬と基礎体温から月経周期と排卵日を確認した。対象者は,卵胞期条件と黄体期条件の2条件の測定を行った。測定前日および当日の激しい運動やアルコール摂取および当日のカフェイン摂取を制限し,測定の3時間前までに食事を摂取し,その後は水のみの摂取とした。測定項目は,脈拍数,外耳温,収縮期血圧および拡張期血圧とした。測定の30分前から研究室内で座位安静を行い,その後,階段運動を負荷した。階段歩行は,100歩/分の速さで7.5往復し,20分間行った。 運動時の脈拍数は,推定最大心拍数(220-年齢)の60%程度であり,軽度~中等度強度の運動負荷であった。歩行前と後の収縮期血圧の変化は,卵胞期において有意差を示さなかったが,黄体期では有意に上昇した(p < 0.05)。歩行前と歩行後の拡張期血圧は,卵胞期および黄体期の両条件とも有意差はみられなかった。卵胞期では血管拡張作用をもつエストロゲン分泌が高まっていることが影響したと考えられた。本研究の結果から,黄体期の運動時は,卵胞期に比較して循環器系への負荷が高い可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に,研究を遂行するにあたって,新型コロナ感染症予防マニュアルを作成していたため,研究対象者に不安を与えることなく,円滑に募集および測定を行うことができた。 また,研究結果について,研究協力者とのディスカッションや学会発表を行い,2023年度以降の研究計画の見直しも完了した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,下記の研究課題を遂行する。 【研究課題1】月経周期による尿中アルドステロン分泌と血圧の関連性について 卵胞期と黄体期に,尿中エストラジオールと尿中プレグナンジオールを測定し,女性ホルモン分泌量の違いが,階段歩行後の尿中アルドステロンおよび血圧変動に及ぼす影響を検討する。 【研究課題2】月経周期の違いが味覚閾値および血糖値変動に及ぼす影響 卵胞期と黄体期において,階段歩行後の味覚閾値変化や歩行中の血糖値変動の違いを検討する。
|
Causes of Carryover |
2022年度は,新型コロナ感染対策のため,フィールドでの測定を行わず,すべて研究室内で測定を行った。このため,当初計画していた移動費や宿泊費などを使用しなかった。フィールド調査は,2024年度および2025年度に行う。
|