2023 Fiscal Year Research-status Report
女性登山者の事故予防を目的とした適切な休憩と行動食摂取提案のための基礎的研究
Project/Area Number |
22K11624
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
野瀬 由佳 安田女子大学, 家政学部, 准教授 (60634194)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 黄体期 / 間質液グルコース濃度 / 体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性ホルモンは,糖代謝に関与する。安静時において,エストロゲンは,インスリン感受性を改善し,黄体期に分泌されるプロゲステロンは,インスリン抵抗性を高めることが報告されている。しかしながら,卵胞期と黄体期ではインスリン感受性に差はないとする報告もある。登山中に,行動食を適切に摂取し,血糖値をコントロールすることは,集中力などの維持につながり,事故予防につながると考えられる。 これまでの我々の調査において,登山に持参する行動食としてチョコレートがもっとも多いことが明らかになった。そこで,2023年度は,卵胞期と黄体期において,階段歩行前のチョコレート摂取が血糖値変動に及ぼす影響を検討した。 対象者は,正常な月経周期を有する健康な成人女性12名とした。測定実施日は,指定した朝食を測定3時間前までに摂取し,その後は絶食とした。測定項目は,尿中エストラジオールおよびプレグナンジオール,尿中クレアチニン,心拍数,血圧,間質液中グルコース濃度,舌下温とした。対象者は,異なる2日間で,卵胞期条件と黄体期条件の2条件の測定を行った。階段歩行を100歩のスピードで20分間行った。解析は,基礎体温や尿中成分で月経周期の確認ができた8名で行った。 舌下温は,黄体期が卵胞期に比較して有意に高い値で推移した(p<0.05)。一方,間質液中グルコース濃度は,黄体期が卵胞期に比較して有意に低い値で推移した(p<0.05)。これらのことから,運動時において,黄体期は,体温上昇などにより代謝が亢進し,血糖値低下につながる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
月経周期の乱れや体調不良等により,測定できた対象者が計画よりも少なかった。このため,2024年度も2023年度の研究課題を引き続き検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,下記の研究課題を遂行する。 研究課題1:月経周期の違いが血糖値変動に及ぼす影響 2023年度の研究課題について,対象者を増やし検討していく。 研究課題2:月経周期の違いが登山活動時の血糖値変動に及ぼす影響(フィールド調査) 卵胞期と黄体期において,登山活動中の血糖値変動の違いを検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度は,新型コロナ感染対策のため,フィールドでの測定を行わず,すべて研究室内で測定を行った。このため,当初計画していた移動費や宿泊費などを使用しなかった。フィールド調査は,2024年度および2025年度に行う。
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