2022 Fiscal Year Research-status Report
動脈血二酸化炭素分圧の変動が運動時の体肢筋活動に及ぼす影響
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22K11626
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柚木 孝敬 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (00352500)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 身体運動 / 呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は先行研究において、脊髄運動ニューロンの自己持続的発火を反映するとされる自己持続的筋活動(SSMA)を下腿筋から導出し、それがCO2再呼吸や4%CO2の吸入によって増強することを報告している。これは、中枢化学受容器(CO2センサー)による呼吸と運動の自律並列的な制御の存在を示唆していると考えられる。しかしながら、上述した先行研究では、安静下の下腿筋を電気刺激することによって誘発される筋電図活動(SSMA)の変化が示されているに過ぎず、高CO2が中枢化学受容器を介して運動行動の制御に関与しているかどうかは不明である。そこで本研究では、動脈血CO2分圧の上昇による脊髄運動ニューロン活動の変調が運動時の体肢筋活動(行動レベル)に顕在化するのか明らかにすることを目的としている。当該年度は、動脈血CO2分圧の近似値とされる終末呼気CO2分圧の違いが静的運動(等尺性膝伸展運動:最大随意収縮力(MVC)の30%強度)および動的運動(脚ペダリング運動:最大酸素摂取量の80-100%強度)における下肢筋活動に及ぼす影響を検討した。静的運動(n=10)においては、MVCや力変動といった力出力特性が終末呼気CO2分圧の増減(hypercapniaやhypocapnia)と関連することを確認した。動的運動(n=8)においては、ケイデンスや運動持続時間に終末呼気CO2分圧の変化が及ぼす影響を検討したが、少なくとも高強度運動において生じる終末呼気CO2分圧の低下がそれらの運動変量に有意な影響を及ぼすことは確認できなかった。今後は、対象とする筋や運動の強度を変えた条件での検討が必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた測定機器の納入がウクライナ情勢の煽りを受け大きく遅れ、また、資材価格の高騰により予定していた測定機器の一つを購入することができなくなった。そのため、予備実験を予定通りに行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策に大きな変更はなく、令和5年度は対象とする筋や運動の強度を変えた条件で実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
購入した測定機器の価格と数に当初予定から変更があったため、次年度使用額が生じた。 生じた次年度使用額は、次年度の物品費購入のための費用にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)