2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of paper crafts (origami) as learning and teaching materials for anatomy and osteology
Project/Area Number |
22K11681
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
高柳 雅朗 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80287523)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 学習教材 / 解剖学教育 / 骨学 / ペーパークラフト / セルフラーニング / 医療従事者養成 / 遠隔授業 / 紙工作 |
Outline of Annual Research Achievements |
解剖学は医療従事者を目指す学生にとって重要であるが、教科書等の平面資料のみから立体的な理解は難しい。ペーパークラフトは立体造形であり、その組み立てはフロー状態を促す場合もあるため、解剖学の学習に有用な新たな学習教材になると期待される。また、学生自身が組立てながら学べるため、セルフラーニング教材としての有用性も期待できる。遠隔授業においては、展開図を配布し、あらかじめ組み立てることで、学生は手元で立体的に確認しながら受講できる。学習教材ペーパークラフトの費用は、市販の模型に比べて非常に低価格であるため、教育機関は希望する学生数分の準備も可能と思われる。これらから実物大の解剖学の学習教材ペーパークラフトの開発を目的とした。 実物大の食道・胃・十二指腸の学習教材ペーパークラフトの展開図はそれぞれ5部品・14部品・6部品からなり、A4用紙5枚に収まった。展開図には解剖学の情報を記載し、臓器の部位を色分けし、立体的に臓器の構造を理解できるように設計した。学習教材ペーパークラフトの作成所要時間は、食道は約30分、胃は約100分、十二指腸は約60分であった。本学習教材ペーパークラフトは安価でありながら、上部消化管を構成する臓器の概形や立体配置を様々な角度から観察してセルフラーニングができる。 実物大の終脳・間脳・中脳・橋・延髄・小脳の学習教材ペーパークラフトの展開図は34部品・8部品・2部品・4部品・4部品・10部品からなり、A4用紙12枚に収まった。展開図には部位名や脳神経等を記載し、各部位を色分けし、視覚的に立体構造がわかりやすいように設計した。左右に分割できるため、学習者は脳の外観と正中断面を様々な角度から立体的に観察できる。幅広い領域において重要かつ必須な基礎知識である脳の解剖学を低価格で学ぶことができる本教材は、解剖学の初学者のセルフラーニングに役立つことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザ等の拡大防止対策の影響は小さくなったとはいえ、様々な影響や制限を受け、研究遂行に支障をきたしている。このため、これまでに完成した展開図および組立て説明書は、計画に達していない。これらの理由により、現在の進捗状況を判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、今年度も昨年度に引き続き、全身の3Dモデリングデータおよび展開図そして組立て方説明書の作成に重点を置く。これまでの開発から得られた示唆やノウハウを展開図および組立て方説明書に反映させ、より作りやすく短時間で完成できる展開図を目指す。具体的には、3Dモデリングデータにおける頂点数、辺数および面数を減らし、展開図におけるノリシロ数を減らして組立ての難易度を下げる等により、組立て時間の短い展開図の作成を目指す。セルフラーニングにも使える学習教材として学習効果を高めるための工夫である、展開図内への解剖学情報の記載、学習教材向けの配色、重要な専門用語への英語併記等はこれまで同様に実施する。 研究成果を学会発表および学術論文による発信を行う。また、意匠登録による公開を計画しており、より広い発信を計画している。
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Causes of Carryover |
今年度は、学習教材ペーパークラフト展開図および組立て方説明書の開発を計画し、開発の消耗品費に当該助成金を使用予定としていた。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策の影響により、開発に遅れが生じた。他方、学会の発表形式が新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策により遠隔開催となり、旅費を抑えることができた。このため次年度使用額が生じた。 次年度の当該助成金の使用予定は、前年度に引き続き、計画している学習教材ペーパークラフトの3Dモデリングデータおよび展開図そして組立て方説明書の開発および作成のための消耗品(プリンタ用紙、組立て用消耗品等)に用いる。研究成果を発表する学会発表のための経費および学術論文作成費に用いる。また、意匠権の出願の費用に用いる。
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