2023 Fiscal Year Research-status Report
腸筋相関を軸としたフェカリバクテリウム菌の抗サルコペニア効果の検証
Project/Area Number |
22K11702
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
今大路 治之 (中山治之) 香川大学, 医学部, 講師 (80294669)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 知巳 香川大学, 医学部, 教授 (60263810)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | Faecalibacterium / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴うサルコペニアの分子機構として、インスリン・IGF-1シグナル不全からmTORシグナル(筋タンパク質合成能)減弱とユビキチンリガーゼ活性(筋タンパク質分解能)亢進による筋委縮やミトコンドリア機能の低下などが挙げられる。そこで本年度は、Faecalibacterium prausnitzii (FP) 菌培養上清でC2C12マウス筋芽細胞を処理し、mTORシグナル経路の活性化(タンパク質合成活性)やE3ユビキチンリガーゼ活性化(タンパク質分解活性)、およびミトコンドリア機能(ミトコンドリア活性マーカーであるPGC1αおよびTfamの活性化)を調べ、筋肉細胞に対する直接的な作用の有無を評価した。 副腎皮質ステロイドであるDexamethasoneを暴露し筋萎縮を誘発させたC2C12マウス筋管細胞に、FP菌培養上清を添加し筋萎縮が抑制されるか検討したところ、添加したFP菌培養上清の濃度依存的に筋管細胞の長さおよび幅の回復が認められた。また、筋特異的E3ユビキチンリガーゼ遺伝子であるMuRF1およびMAFbx遺伝子のFP菌培養上清濃度依存的な発現減少が定量的PCRおよびWestern解析から明らかとなった。しかし、リン酸化mTOR、PGC1α、Tfamあるいはユビキチンリガーゼ遺伝子の上流転写因子であるFOXO3の発現亢進は認められなかった。今回の結果より、FP菌由来培養上清によるユビキチン・プロテアソーム依存的なタンパク質分解の抑制が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FP菌の培養液中に含まれる筋細胞分化誘導因子の分離精製が困難な状況である。誘導因子の収量の問題であるが、早急に解決したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
早急にFP菌の培養液中に含まれる筋細胞分化誘導因子の分離精製を行う。まずは初発検体のスケールアップを試みる。分離精製が困難で収量が顕著に少ない等の問題が発生した場合は、粗抽出画分あるいは菌培養上清を使用して計画通りマウス個体に対するFP菌由来筋細胞分化誘導因子の抗サルコペニア効果の検証を行う。サルコペニア様の形質を示すSAMP8老化促進モデルマウスに筋分化誘導因子を飲料水として継続的に投与する。3ヶ月飼育後、ヒラメ筋、腓腹筋、前脛骨筋、大腿四頭筋の筋肉量および内臓脂肪量を測定するとともに、HE染色による筋繊維密度や筋繊維径などを指標にして筋肉組織の評価を行う。また、肝臓、筋肉組織よりRNAを抽出し、筋分化誘導因子を投与することによって変動する遺伝子発現応答をRNA-seq解析により網羅的に探索する。
|
Research Products
(1 results)