2022 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージに着目したガン疼痛形成と腫瘍形成に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
22K11717
|
Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
小松 生明 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (80368977)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | セレコキシブ / ナノエマルション / ガン制疼痛 / ガン増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、近年、本発明のシクロオキシゲナーゼ2(COX2)を特異的に阻害するセレコキシブ(CXB)を封入したナノエマルジョン(CXB/NE)はマクロファージを介し薬物を炎症した足跡部位に特異的・効率的に送達して疼痛を改善する作用を有することを明らかした(Liu, Komatsu et al. Theranostics. 2020)。 そこで本研究では、ガン性疼痛とガン増殖に関与しているCOX2を特異的に阻害するCXBを封入したナノエマルジョン(CXB/NE)がマクロファージに取り込まれ、ガン細胞により障害を受けた神経細胞周辺やガン組織に特異的かつ効率的に送達し、ガン性疼痛とガン増殖を共に抑制する可能性を、ガン性疼痛モデルマウスを用いたin vitro・in vivo解析を通じて明らかにすることを目的とする。 雄性のC57BL/6系マウスの後肢足蹠に、B16-F10メラノーマ細胞を移植して作成したガン性疼痛モデルにCXB/NEを静脈内へ投与したところ、コントロール群に比べCXB/NE投与14日後にガン細胞誘発性のアロディニアは有意に抑制された。この効果は投与21日後まで持続した。またガン細胞移植後の腫瘍増殖もCXB/NE投与20日後より著しいガン増殖抑制効果を示した。一方、NE単独または同用量のCXB単独投与はガン細胞誘発性のアロディニアを抑制せず、ガン細胞増殖抑制効果も示さなかった。このようにCXB/NEは少量でガン性疼痛緩和作用とガン増殖抑制作用を発揮することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、米国共同研究者への検体の輸送に影響を受けたため、研究の進捗は遅れる結果となった。疼痛部位や腫瘍組織における免疫細胞のCXB/NE取り込み能の免疫組織化学的解析について実施できたが、十分な検証を実施するには至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
雄性のC57BL/6系マウスの後肢足蹠に、B16-F10メラノーマ細胞を移植して作成したガン性疼痛モデルにCXB/NEを静脈内へ投与したところ、コントロール群に比べガン細胞誘発性のアロディニアは有意に抑制され、腫瘍サイズも小さく著しいガン増殖抑制効果を示した。そこで雄性ガン性疼痛モデルの疼痛部位や腫瘍組織において、マクロファージのマーカー分子(CD68)とCXBNEの共局在を免疫学的組織化学染色法によりCXB/NEがマクロファージに取り込まれ疼痛部位や腫瘍組織に送達されているかを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、動物飼養施設や研究室の利用が制限されたことが影響し、研究の進捗が遅れたため次年度使用額が生じた。今年度は昨年度十分な検証に至らなかった研究(疼痛部位や腫瘍組織における免疫細胞のCXB/NE取り込み能の免疫組織化学的解析)を含めて実施する予定である。
|
Research Products
(1 results)