2022 Fiscal Year Research-status Report
老化（腎虚）に注目した漢方治療の基盤研究：八味地黄丸について
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22K11726
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| Research Institution | Kagawa University |
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Principal Investigator |
永尾 幸 香川大学, 保健管理センター, 准教授 (40720016)
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| Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | 腎虚 / 八味地黄丸 / 漢方 / 史料研究 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
原典である『金匱要略』には八味地黄丸（崔氏八味丸、八味腎気丸、腎気丸とも表記されている）の条文が複数ある。適応となる主な症候として、虚労（体力低下・疲労倦怠）による腰痛や排尿減少、口渇・多飲・多尿の状態、婦人の転胞（尿閉）により排尿困難なため起座呼吸となり手足のほてりを伴うものなどが挙げられている。曲直瀬道三ら後世方派においては五行説を背景に八味地黄丸は「腎」の機能の衰え（『腎虚』）を補う“補腎剤”と捉えて用い、一方の吉益東洞に代表される古方派は五行説による解釈を退け『金匱要略』の条文を元に“利水薬”として用いている。応用的な運用として後世方派では北尾春甫『当壮庵家方口解』に婦人の月経不順や冷えを伴う帯下・排尿異常、香月牛山『牛山活套』に諸薬無効の口内炎、浅井貞庵『方彙口訣』に咳嗽や眩暈など多岐にわたり用いられており、古方派では六角重任『古方便覧』に小児の遺尿や女性の膀胱炎を思わせる頻尿・排尿痛に用いた記述もみられた。また香月牛山『牛山方考』には丸薬は酒または白湯で服用し、急性症には煎じ薬を、緩徐な症状には練薬を、服薬にて胸が気持ち悪くなる場合は丸薬を姜湯で服用するなど剤型による運用法の違いもみられた。さらに加味方や他の処方との兼用方では午膝・車前子の加味（牛車腎気丸）のみならず、症候に応じた種々の生薬の加味方や理中丸などの人参剤あるいは参耆剤である加味大補湯との兼用などが記載されており、引き続き後世方派／古方派各医家の処方に対する考え方や運用法について研究を進める。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
収集した文献の読解や臨床的記述の解釈にあたり、各流派医家それぞれの思想や時代背景などをより詳しく理解するための情報収集と全体像の把握にも時間を要しているため。
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| Strategy for Future Research Activity |
江戸時代中期～後期にかけては漢方医学が最も大きく発展した時代であり、2022年度と2023年度の２年間にまたがっての計画としているため、次年度は引き続き文献収集・読解を進め遅れを取り戻す予定である。
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| Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行の影響により学会がオンライン開催となり、研究協力者との打ち合わせ・協議なども困難な状況が続いたため、旅費等を執行することができなかった。次年度に使用する予定である。
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