2022 Fiscal Year Research-status Report
老化制御機構の分子基盤解明に挑む~環境エンリッチメントとカロリー制限の観点から~
Project/Area Number |
22K11727
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鳥越 大輔 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 講師 (30609657)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | カロリー制限 / 環境エンリッチメント |
Outline of Annual Research Achievements |
カロリー制限(CR)は多くの動物種において寿命延長効果を有する事が明らかとなっている一方、骨密度の低下や筋萎縮等の副作用を示す事も明らかとなっている。近年、飼育動物のストレス軽減を目的とした環境エンリッチメント(EE)により寿命が延伸したことが報告されたが、詳細は不明なままである。本研究ではEEによる寿命延長効果機構の解明を主な目的として実施している。 本年度はEEによる寿命延長効果について、CRや高脂肪食(HFD)と組み合わせて寿命解析を行った。雄マウスにおいて、CR群では通常食(ND)群と比較して寿命の延長効果は認められなかったが、ND+EE群では6.8%の寿命延長が認められた。また、HFD+EE群ではHFD群より4.7%寿命が延長し、CR+EE群ではCR群より25.4%寿命が延長していた。雌マウスにおいては、CR群ではND群より24.3%の寿命延長が認められ、HFD+EE群ではHFD群より3.8%の寿命延長効果が認められたが、CR+EE群ではCR群と比較して寿命の延長効果は認められなかった。 雄マウスではCRによる最大寿命延長効果は効果が認められなかったが、生存期間中央値に関してはCR群でもND群と比較して延長しており、その他の群でもEEにより生存期間中央値は延長していた。 これらの事より、EEにはマウスの寿命を延長する効果があり、特に雄マウスにおいてはCRと組み合わせる事でEE単独もしくはCR単独の寿命延長効果を増強させる事が示唆された。 また、健康寿命における効果について、50週齢時点での行動学的解析、各種老化マーカー発現解析を行ったが、50週齢では十分な老化が進行しておらず、CRの優位な効果は特に認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、EEの寿命延長効果に関しての寿命解析を実施し、EEにより寿命が延長される事を確認し、特に雄マウスにおいてはCRの寿命延長効果をさらに増強させる事が示された。また、健康寿命に関する効果を確認するため、50週齢と100週齢での解析を予定しており、50週齢での解析はすでに実施しており、100週齢での解析も計画通り次年度実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
EEによる最大寿命延長効果について、HFDやCRを組み合わせて寿命解析を実施し、EEによる寿命延長効果を確認したが、その他のモデルにおいても同様の効果があるかどうか、老化促進(早老症)モデルマウスに対しても寿命解析を実施する予定である。 また、健康寿命への影響に関して、100週齢時点での解析を実施し、最大寿命だけでなく健康寿命にも効果があるかどうか明らかにする予定である。 さらには最大寿命延長や健康寿命延長効果に関する機構を明らかにするため、各種オミクス解析の準備を進めていく予定である。
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