2023 Fiscal Year Research-status Report
健康寿命延伸に向けたレスベラトロールの「睡眠の質」と記憶の改善機構の解明
Project/Area Number |
22K11735
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
寺尾 晶 東海大学, 生物学部, 教授 (10451402)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 老化 / SAMP8 / SAMR1 / ノンレム睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者では老化に伴い概日リズムの位相が前進し、睡眠時間と睡眠の質が低下することが知られている。本年度は、老化促進モデルマウス(SAM)を加齢性睡眠障害のモデルとして活用することを目的として、老化促進と短寿命を示すSAMP8と正常老化を示すSAMR1の睡眠構築と概日リズムの評価を行い、以下の結果を得た。1)概日リズムについては、2ヶ月齢から5ヶ月齢のSAMP8マウスの明期12時間の活動量はSAMR1のそれに対して有意に高いことが示されたのに対して、暗期12時間の活動量は両系統で差が認められなかった。暗期12時間と明期12時間の活動量の比を比べるとSAMR1が3.7-5.4の値を示したのに対してSAMP8では1.6-2.5の値を示した。このことからSAMP8はSAMR1に対して概日リズムの振幅が小さいと考えられた。2)睡眠構築については、6ヶ月齢SAMP8マウスのノンレム睡眠量およびレム睡眠量はSAMR1マウスに対して有意に低い値を示した。また、この時のSAMP8マウスのノンレム睡眠エピソード持続時間はSAMR1マウスに対して有意に短縮していた。ノンレム睡眠エピソード長のヒストグラムを比較すると、SAMP8マウスはSAMR1マウスに対して10秒の短いエピソード頻度が増加していた。ノンレム睡眠エピソード長のヒストグラムを比較すると、SAMP8マウスはSAMR1マウスに対して10秒の短いエピソード頻度が増加していた。ノンレム睡眠時脳波構成を比較するとSAMP8マウスはSAMR1マウスに対してデルタ波領域のピーク値が低く、デルタ波強度も低いことが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SAMP8における概日リズム異常が2ヶ月齢から観察され、5ヶ月齢に向けて徐々に拡大した。このため、6ヶ月齢の時点で睡眠評価を行ったところ、SAMR1マウスに対して、加齢に伴うノンレム睡眠の断片化が生じ、睡眠の質が低下していると考えられ、加齢性睡眠障害モデルとしての有効性を示した。マウスの睡眠評価はルーチンで行っているため、計画通りに実験を進めることが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
食餌性肥満マウスと老化促進マウスにおいて、それぞれが異なる特徴を持つ睡眠障害モデルとなることを示した。今後はレスベラトロールを重量比で0.2%配合した餌を与えたマウスにおいて、老化に伴う機能低下に対するレスベラトロールの睡眠の質、体重、寿命に与える改善効果を調べる。
|
Causes of Carryover |
データ集計ツールの支出が想定よりも少なかったため、若干の未使用額が生じた。
|