2023 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of action of excessive sucrose intake aggravates allergic dermatitis in rats.
Project/Area Number |
22K11738
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
吉村 征浩 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (60455566)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ショ糖 / アレルギー性接触皮膚炎 / 腸内細菌叢 / 短鎖脂肪酸 / 酢酸 / トリアセチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ショ糖溶液の摂取によってAD症状が悪化するかどうか調査し、その機序を明らかにすることを目的としている。 2022年度にショ糖溶液の摂取が腸内細菌叢構成に影響を及ぼすことが明らかとなったため、どのような細菌種が増減しているのかを調査するため、次世代シーケンサーを用いた16S rRNAメタゲノム解析を実施した。ショ糖溶液を摂取したラットの糞便中には、コントロールラットと比較して、Alistipes indistinctus, Akkermansia muciniphila, Muribaculaceaeの一種など、短鎖脂肪酸を産生する細菌種が増加していることが分かった。腸管管腔で腸内細菌叢によって産生される短鎖脂肪酸は、宿主の免疫機能に大きく寄与することが知られているため、ショ糖溶液の摂取に伴う、DNFB誘発型ADの早期悪化に短鎖脂肪酸が関与していると考えられた。そこで、糞便、盲腸内容物、血清サンプル中の短鎖脂肪酸濃度をGC-MSにより測定したところ、糞便、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸濃度は、ショ糖溶液摂取により若干上昇する傾向がみられた一方で、血清中では有意に低下していた。濃度の低下は酢酸が顕著であった。このことは、ショ糖溶液の摂取により、腸管からの短鎖脂肪酸の吸収が抑制されていることを示唆している。また、血清中の短鎖脂肪酸濃度が低下することがショ糖溶液摂取によるDNFB誘発型ADの早期悪化の原因である可能性が考えられた。そこで、ショ糖溶液摂取により低下する血清酢酸濃度を上昇させるため、摂取させるショ糖溶液に、リパーゼの作用により酢酸を遊離する短鎖トリグリセリドであるトリアセチンを混合し、ラットへ摂取させ、DNFB誘発型AD症状がどうなるかを検討した。現在、動物実験の結果を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、腸内細菌叢構成の次世代シーケンサーにより解析までを予定していたが、腸内細菌種レベルでの解析結果から、各種サンプル中の短鎖脂肪酸を測定するに至り、さらにその結果から、トリアセチンを摂取させる動物実験を実施した。以上のように、当初の予定を大幅に上回り、進展がみられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に実施した動物実験の解析を進め、、ショ糖溶液の摂取によるアレルギー性接触皮膚炎症状の悪化が、血中短鎖脂肪酸濃度の低下を介して引き起こされることを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2023年度は研究計画が当初の予定を大幅に越え、前倒し請求を実施し、研究を遂行した。主に実験消耗品に支出したため、残高が生じた。次年度は同様に実験消耗品に対して支出を辞しする予定である。
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