2022 Fiscal Year Research-status Report
食品抗酸化成分誘導性の細胞増殖・分化を介した栄養吸収制御評価法の開発
Project/Area Number |
22K11740
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Research Institution | Mimasaka University |
Principal Investigator |
渡辺 理江 美作大学, 生活科学部, 准教授 (70452349)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 食品抗酸化 / 栄養吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、酸化ストレスによる組織傷害と多くの現代病や生活習慣病との関連性が明らかにされ、Ⅱ型糖尿病においても、持続的高血糖での酸化ストレス発生による血管障害・合併症の発症予防が治療上重要な問題になっている。糖尿病食事療法では、低GI値食品や糖吸収を低下させる食材の利用が広く推奨されており、酸化ストレスが発生しやすい食後血糖値の急激な上昇を低減させ、血糖コントロールを改善する栄養指導が行われている。同時に、糖吸収を低下させる新規食材の探索研究や機能性評価研究に関する報告も非常に多くなっている。その多くの食品・食材が食後血糖値上昇抑制作用に加え、抗酸化作用も併せ持つことを報告してきたが、糖の吸収阻害と抗酸化作用の因果関係や詳細なメカニズムはほとんど不明なままであり、多くの場合、食品の糖吸収阻害機能のみに焦点が当てられ、抗酸化作用は食品成分品質保持効果あるいは二次的な成分保護サポート効果であると考えられている。 私たちは、食品成分中の抗酸化作用に注目し、2022年度は、アブラナ科野菜やマメ科野菜など抗酸化作用のある食用野菜含有食(試験食)を用い、小腸杯細胞の細胞増殖・分化の程度を評価した。解析には野生型マウス(C57BL/6Njcl)を使用したが、有意差を確認するために、試験食自由摂取下にて長期的な飼育を行った。 その結果、アブラナ科野菜である紫キャベツなどの試験食群において、長期的食餌摂取により、マウス高年期および老年期にて、有意に小腸杯細胞の細胞数の増加および面積の増大が起こることを見出し、学会誌等に報告を行った。しかしながら、血糖コントロールに関しては、高年期においてのみ有意差が認められ、マウス週齢に影響する応答性がでることも明らかとなり、研究計画を予定通り進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに進捗し、論文報告や学会発表も行った。 また、研究設備が整ってきており、本学に設置されてない機器であっても、近隣の岡山大学や京都大学、あるいは、委託にて解析ができるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究計画を進め、分子レベルでの解析・評価を行う。特に、腸管杯細胞増 殖・分化度の状態および食品成分の血中吸収度の割合をマーカー分子発現量などにて比較評価する。
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Causes of Carryover |
年度末、残った金額が1000円程度の端数で、次年度の消耗品購入時に一緒に使用した方が事務処理しやすかったため。
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Research Products
(6 results)