2023 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋サルコメアの恒常性維持機構ならびにその破綻として捉えるサルコペニア
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22K11754
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鹿毛 陽子 宮崎大学, 医学部, 助手 (30776688)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サルコメア / アクチン / フォルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアとは、加齢に伴って筋量や筋力が低下した状態を指し、高齢化が進む日本にとっても深刻な問題である。サルコペニアの発症理由は、横紋筋の収縮単位であるサルコメアの恒常性が様々な要因によって維持できなくなるためと考えられているが、詳しい分子機序はよく分かっていない。そもそも、サルコメアという装置の収縮メカニズムはこれまでの長年の研究により基本的にほぼ解明されたのに対し、本装置がどうやって構成分子をターンオーバーさせてその恒常性を保っているか、に関しては未だ不明な点が多いからである。同じ横紋筋である心筋においては、近年、サルコメアを構成するアクチン分子のターンオーバーが筋収縮に依存して生じていることが明らかとなってきた。本研究では、心筋サルコメアで解き明かされてきた筋収縮依存的な恒常性維持機構を参考に、その相同性と相違性に着目しながら、骨格筋サルコメアの恒常性維持機構を解き明かしたい。本年度は心筋におけるアクチン動態の制御因子であるフォルミン蛋白質Fhod3の欠損マウスを用いた組織細胞化学的解析および生化学的解析等により、骨格筋におけるFhod3の役割を検討した。その結果、心筋と比較して量は少ないものの、骨格筋においてもフォルミン蛋白質Fhod3が発現していること、心筋と同様にフォルミン蛋白質Fhod3がサルコメアの成熟過程に関わる可能性があること、また、心筋のFhod3とは局在様式に違いがあり、骨格筋特有の機能が示唆された。これらの結果に基づいて、骨格筋サルコメア内のアクチン線維のターンオーバー制御機構を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ想定の範囲内で進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にできるだけ沿う形で進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末に帳尻合わせを行っていないため、次年度使用額が生じているが、ほぼ計画通りである。
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