2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of intestinal bacterial invasion into intestinal epithelial cells and inflammation induction by an aluminum-containing food additive alum
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22K11763
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
若林 あや子 日本医科大学, 医学部, 講師 (30328851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠田 悦子 日本医科大学, 医学部, 助教 (00589327)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 抗生剤 / アルミニウム含有食品添加物 / ミョウバン / バチルス科細菌 / 腸上皮細胞 / 細胞死 / ピロトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでマウスを用いて、抗生剤(アンピシリン、ネオマイシン、バンコマイシン、メトロニダゾール)処置がカスパーゼ6活性化を介した腸上皮細胞のアポトーシスを誘導すること、加えて抗生剤処置下での食品添加物ミョウバンの経口投与はカスパーゼ1とカスパーゼ4活性化を介した腸上皮細胞のピロトーシスとIL-18産生を誘導することを見出した。本研究では、腸上皮細胞死誘導における腸内細菌叢の関与を明らかにする目的で、抗生剤処置およびミョウバン投与による腸内細菌叢の変化について16S rRNAメタゲノム解析を行なった。 抗生剤を添加または非添加の飲料水を2週間与えた後、ミョウバンを経口投与したマウスの小腸内容物および小腸上皮細胞を分離し、16S rRNAメタゲノム解析を実施した。その結果、抗生剤非処置マウスの小腸内容物および小腸上皮細胞ではムリバキュラ科などのグラム陰性共生細菌が優勢であったが、抗生剤処置マウス腸内ではこれらグラム陰性菌が著しく減少し、グラム陽性のバチルス科細菌が優勢であった。また、抗生剤処置に加えてミョウバンを投与したマウス腸上皮細胞ではバチルス科細菌以外にも、様々な多様な細菌が検出された。 これらの結果より、抗生剤耐性細菌が優勢なdysbiosis環境下の腸上皮細胞において、ミョウバンはグラム陽性細菌成分によるインフラマソーム活性化を促し、カスパーゼ1とカスパーゼ4の活性化を介したピロトーシス誘導とIL-18分泌を引き起こす可能性が示唆された。抗生剤によるdysbiosisは、アルミニウム含有食品添加物ミョウバンによる腸上皮細胞の細胞死を増強させ、深刻な腸上皮バリア損傷と消化管アレルギーの発症や悪化に関与することが考えられる。今後さらにマウス生体および腸上皮培養細胞を用いて、上皮細胞死の分子機構および消化管アレルギー誘導機構について解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、マウス小腸内容物および腸上皮細胞の16S rRNAメタゲノム解析により、通常のマウス腸内ではグラム陰性ムリバキュラ科共生細菌が優位であること、および抗生剤はそれら菌を著しく減少させてグラム陽性のバチルス科細菌優位なdysbiosis状態を誘導することが明らかになったことは大きな進展であった。 一方16S rRNAメタゲノム解析の結果、通常の無処置の腸上皮細胞からも細菌の存在が示唆され、正常な腸上皮細胞においても腸内細菌のエンドサイトーシスが起こっていると考えられる。アルミニウム含有食品添加物であるミョウバンが、腸上皮細胞における腸内細菌のエンドサイトーシス機能やリソソーム機能にどのように影響を与え、どのようにインフラマソーム活性化・ピロトーシス誘導に関与するかは未だ明らかでなく、今後明らかにしていきたい。今年度の研究結果より、今後のさらなる研究の方向づけを明確にすることができた。 引き続く世界的社会状況の影響により、一部の試薬や実験器具などの納入の遅延や入手困難となる事態はあったが、 代わりとなる試薬や器具を使用するなどして対応した。研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、抗生剤処置はムリバキュラ科などのグラム陰性共生細菌を著しく減少させ、グラム陽性の抗生剤耐性バチルス科細菌優位なdysbiosisを引き起こすことが明らかとなった。こうしたdysbiosis下でミョウバンは、腸上皮細胞の細菌のエンドサイトーシス機能やリソソーム機能の不全を誘導する可能性がある。それら機能不全による腸上皮細胞質への細菌成分の曝露はインフラマソーム活性化に続くカスパーゼ1やカスパーゼ4の活性化を促し、ピロトーシスによる細胞死を引き起こすと考えられる。 そこで今後、ミョウバンが腸上皮細胞のエンドサイトーシス機能不全・リソソーム機能不全を引き起こして、リポテイコ酸などグラム陽性細菌成分の細胞質への曝露を促すかを明らかにする。加えて、細胞質リポテイコ酸によるインフラマソーム活性化、炎症性細胞死ピロトーシスとIL-18分泌誘導について解析し、ミョウバンによる腸上皮バリアの損傷と消化管アレルギーの発症における腸内細菌の関与を明らかにする。 具体的には以下を調べる。①マウス腸上皮細胞において、ミョウバンがエンドサイトーシス機能やリソソーム機能の不全を誘導することを、エンドサイトーシス検出試薬・リソソーム検出試薬を用いて共焦点レーザー顕微鏡で観察する。②マウス腸上皮細胞において、ミョウバンがリポテイコ酸などの細菌成分によるインフラマソーム活性化を促すことを、ウエスタンブロッティング、蛍光免疫染色法、ELISAなどにより明らかにする。③マウス腸管オルガノイド由来の腸上皮細胞に、SV40-T抗原遺伝子を導入することにより不死化腸上皮細胞株を樹立し、ミョウバンや細菌成分を加えた時のエンドサイトーシス機能不全・リソソーム機能不全やインフラマソーム活性化について in vitroでの検証を行う。 消化管アレルギーの予防や治療の礎となるべく、本研究をさらに推進する。
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Causes of Carryover |
理由:研究の過程において、一部の試薬やキットを当初予定したものから、製品内容やメーカーを変更するなどした。また飼育の都合上、マウスの購入匹数に変更が生じたこともあった。コロナ禍や世界的な社会状況の変化の影響により、一部の試薬・キットや実験器具の入手が滞ったり困難となり若干の変更が生じたこともある。こうしたいくつかの理由のため、若干の次年度使用額が生じた。
使用計画:次年度はマウス腸上皮細胞を用いたウエスタンブロッティング、蛍光免疫染色、ELISAなどの実験研究を計画している。次年度の研究には多くのマウス、試薬、実験器具等が必要であり、次年度使用となった研究費は有効に使う予定である。必要な器具や試薬を研究計画に沿って購入して適切に実験を進め、貴重な研究費を社会に還元すべく研究を推進する所存である。
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Remarks |
ミョウバンによる腸管上皮損傷に伴う炎症・アレルギー誘導性損傷関連分子の放出の解析と免疫学的安全性評価の検討. 若林あや子. 公益財団法人日本食品化学研究振興財団 第28回研究成果報告書 vol.28, p.57-62, 2022年12月
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Research Products
(5 results)