2023 Fiscal Year Research-status Report
Preventive effect of intermittent fasting against diabetic retinopathy and its mechanism
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22K11767
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
石丸 侑希 摂南大学, 薬学部, 講師 (80611607)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 断続的断食 / 予防療法 / 網膜神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病網膜症予防法としての断続的断食の有用性を明らかにすることを目的としており、昨年度、1型糖尿病モデルマウスであるAkitaマウスで生じる網膜機能低下に対して、断続的断食が著明な抑制効果を示すことを明らかにした。本年度は、この断食による網膜保護効果の機序の解明を目的として検討を行った。断食による網膜組織の細胞内シグナルの変化についてウェスタンブロット法を用いて検討した結果、24時間断食を行った野生型マウスの網膜において、エネルギーセンサーとして機能するAMPKのリン酸化、およびその下流で機能する転写因子であるFoxO3aのリン酸化が亢進することを見出した。免疫蛍光染色でリン酸化FoxO3aが網膜神経節細胞層および内顆粒層の細胞に存在することを確認した。FoxO3aは種々の抗酸化酵素の発現を制御していることから、いくつかの抗酸化酵素をコードする遺伝子の発現をリアルタイムRT-PCR法により解析したところ、断食したマウスの網膜においてGPx-3の発現が増加することを明らかにした。また、網膜神経節細胞および内顆粒層に存在するアマクリン細胞に酸化ストレスを引き起こし、細胞死を誘導するNMDAを断食したマウスに硝子体内投与したところ、NMDA誘発網膜神経節細胞死が断食によって軽減されること、また、細胞内カルシウム流入や酸化ストレスによって活性化されるカルパインの基質であるスペクトリンαⅡの分解が抑制されることを明らかにした。以上の結果から、断食は網膜の酸化ストレス耐性を向上させることによって、網膜神経障害を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は糖尿病モデルマウスでの網膜神経障害に対して断続的断食が保護作用を有することを明らかにし、2023年度は断食による網膜保護作用機構の解明を目的に検討を行った結果、その一端を解明できたことから、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の成果を基盤として、断続的断食を行ったAkitaマウスでの網膜神経保護作用機構について検討を進める予定であり、現在、断続的断食を行ったAkitaマウスの網膜における遺伝子発現の網羅的な解析を行っている。
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Causes of Carryover |
2023年度に引き続き、断続的断食による網膜神経保護作用機構の解明に焦点を当てた研究を行う予定であり、この研究の実施には今年度と同じく、交付決定額以上の支出が予想される。そのため、多くの試薬の購入費用や委託解析費用に予算を充てる計画である。
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