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2022 Fiscal Year Research-status Report

魚類由来エラスチンペプチドの血管保護作用を介した生活習慣病抑制効果

Research Project

Project/Area Number 22K11791
Research InstitutionKindai University

Principal Investigator

竹森 久美子  近畿大学, 農学部, 教授 (00288888)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 増田 誠司  近畿大学, 農学部, 教授 (20260614)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsエラスチンペプチド / 高血圧性腎血管障害 / DPP-Ⅳ阻害作用 / SHRSP / 抗炎症作用
Outline of Annual Research Achievements

高血圧性腎硬化症は透析導入の原因として年々増加しており、その要因は高血圧罹患者の増加と高齢化にある。腎硬化症は長い時間経過で腎機能障害を起こしてくるが,同時に心血管疾患の発症率も高い。近年Dipeptidyl peptidase Ⅳ(DPP-Ⅳ)阻害剤投与による腎機能保護作用が報告されている。本研究では,DPP-Ⅳ阻害活性を有することを予備試験で確認しているカツオ動脈球由来エラスチンペプチド(EP)持続投与による高血圧性腎血管障害抑制の作用機序を検討した。エラスチンペプチドのDPP-Ⅳ阻害活性の有無を確認するため1%カツオエラスチン(林兼産業)を4 %ブタ膵臓由来パンクレアチンを用いて37 ℃で18時間人工消化したEPを用い,DPP-Ⅳ阻害活性をスクリーニングアッセイを用いて測定した。さらに生後12週齢に達し、高血圧を発症した雄性Wistar-Kyoto rat (WKY)と脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)を用い、EP(600 mg/kg/day:1日2回の分割投与)を4週間投与し(EP群)、腎血管障害に及ぼす影響を検討した。In vitroの試験で、EPは未消化物に比べてパンクレアチン処理したもので高いDPP-Ⅳ阻害活性を示した(EP: 77.7%, 未消化物:44.2%)。In vivoの試験で、EP 摂取によるSHRSPに対する降圧効果は認められなかったが,EP群の腎臓細小動脈壊死数はControl 群に比べ有意に低値であり,線維化も抑制されていた(p<0.05)。さらに腎血管内皮細胞におけるICAM-1の発現は有意に低く(p<0.05) ,正常血圧のWKYと同程度の値を示した。以上の結果から,魚類由来EPはDPP-Ⅳ阻害を介した炎症抑制により腎血管内皮細胞の機能を維持する機能性食品ペプチドとして利用できる可能性が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

エラスチンペプチドを人工消化した際に生成される分解産物がDPP-Ⅳ阻害活性を有することを確認した。続いて脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)に対しエラスチンペプチドを持続摂取させることにより腎臓細小動脈壊死数が少なく、線維化領域の割合が低いことを見出した。そこで炎症関連因子として腎血管内皮細胞におけるICAM-1の発現を調べてみると正常血圧のWKYと同程度にまでICAM-1の発現が抑制されることを明らかにした。さらに、SHRSPにエラスチンペプチド経口摂取後に血中移行することを確認し、その移行したペプチド配列を明らかにしたことから、次年度に向け、DPP-Ⅳ阻害活性や血管保護作用を持つペプチド配列を同定する一助となる結果を得た。以上のことからエラスチンペプチドの腎血管保護作用に関する基礎的な知見が得られており、おおむね研究は順調に進展していると判断される。

Strategy for Future Research Activity

【高血圧性腎障害のバイオマーカーの検索】SHRSP の血圧上昇時期に血液ならびに腎臓細動脈内で増加する IL-1b, TNFa, IL-6 などを代表例とする炎症性サイトカインの血中と組織レベルの変動を引き続き検証する。
【エラスチンペプチド経口摂取後に血中移行したペプチドの有効性の検証】令和4年度にエラスチンペプチド経口摂取させたときに血中移行したペプチドの中から数種を合成し、DPP-Ⅳ阻害活性の有無を検証する。その中からDPP-Ⅳ阻害活性が高いものを選抜し、浸透圧ポンプを用いて疾患モデル動物の静脈内に持続投与したときの血管傷害ならびに糖代謝改善に対する直接的な作用機序を解明する。
【エラスチンペプチドによる生活習慣病発症抑制効果の検証】①重症高血圧を発症したSHRSPにカツオ動脈球由来EP(600 mg/kg/day)を1 日2 回に分け4週間強制経口投与する。実験期間終了時に、4%エバンスブルーを静脈内投与し、24時間後に脳血管の透過性の評価を行う。また一部のラットから大脳皮質ならびに全血から顆粒球rich画分を採取し、脳微小血管内皮細胞における接着分子であるICAM-1の発現と好中球の表面タンパク質であるMac-1の発現をrealtime PCR を用いて比較する。
②①と同様のサンプル投与を行った実験の最終週に糖負荷試験を実施し、血糖値、インスリン値、インクレチン分泌量を測定し、エラスチンペプチドによる糖代謝改善作用を確認する。実験終了時には糖代謝の責任臓器である骨格筋・肝臓を摘出し、インスリンシグナル伝達因子の発現解析を実施する。

Causes of Carryover

本年度の研究費残額は5万円未満(37,152円)であり,順調に遂行された研究としてほぼ使用することができたと判断される。次年度に実施する動物実験実施が予定より増えたため、飼料購入費用として今年度使用予定額の一部を繰り越すことになった。来年度も継続して行うことになっている研究課題であり,今後実施される実験に本年度の残額を有効に使用することができる見通しである。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 生体のしなやかさを維持するタンパク質 エラスチン いかに身体のしなやかさを維持するか2022

    • Author(s)
      竹森久美子
    • Journal Title

      化学と生物

      Volume: 60(8) Pages: 376-378

  • [Presentation] DPP-Ⅳ阻害活性作用を有する 食品成分摂取による DOHaDモデルラットの 耐糖能異常改善効果の検討2023

    • Author(s)
      田口達博、竹森久美子
    • Organizer
      第20回日本小児栄養研究会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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