2023 Fiscal Year Research-status Report
へパラン硫酸脱硫酸化酵素を標的とした老化関連疾患の予防・治療法の開発
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22K11794
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
佐々木 紀彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (80639063)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | へパラン硫酸脱硫酸化酵素 / NFκB / 糖鎖修飾 / KOマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血管内皮細胞の老化で分泌されるへパラン硫酸脱硫酸化酵素について、心血管系細胞(血管内皮細胞、平滑筋細胞、心臓線維芽細胞、心筋細胞など)への作用機序をin vitroおよびin vivo解析により明らかにすることを目的としている。2023年度は、へパラン硫酸脱硫酸化酵素の発現性についての解析、そしてへパラン硫酸脱硫酸化酵素の血管内皮特異的KOマウスの作成を進めた。まず、老化に伴い発現が増加するへパラン硫酸脱硫酸化酵素の上流制御について、CHIP-アトラス解析からNFκBによる転写の可能性を見出し、実際に、NFκBの阻害剤処理でへパラン硫酸脱硫酸化酵素の発現が低下することがわかった。次に、へパラン硫酸脱硫酸化酵素における糖鎖修飾が、他の細胞種とは異なっていること、さらに老化内皮細胞に炎症刺激を行うことで、糖鎖修飾の変化と分泌量の増加が確認された。糖鎖修飾の変化には、糖鎖の分解酵素が関わっている可能性が示唆され、また、分泌量の増加にはオートファジー経路が関わっている可能性を見出した。in vivo解析として、へパラン硫酸脱硫酸化酵素の血管内皮特異的KOマウスの、若齢期(8~11ヶ月齢)において筋力測定や各組織のサンプリングを進めた。筋力測定においては、野生型とKOマウスで特に違いは見られなかった。また、動脈硬化との関連を調べるため、血管内皮特異的KOとApoE-KOのダブルKOマウス作成に向けて、ApoE-KOマウスの導入と繁殖を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画②の平滑筋細胞、心臓線維芽細胞、心筋細胞に対する作用については、内皮細胞由来のへパラン硫酸脱硫酸化酵素と糖鎖修飾が異なることは見出したが、各細胞への作用についての解析は進まなかった。計画③の血中での発現については、当該研究所で高齢者由来血清を多数入手し、解析の準備を行った。また、計画④の血管内皮特異的ノックアウト(KO)による解析に向け、血管内皮特異的KOマウスの繁殖と、ApoE-KOマウスの準備を進めた。 以上のように、in vivo解析に向けた準備は進んでいるが、in vitroでの解析はあまり進んでおらず、やや遅れていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
期間内に研究目的を遂行させるため、今後は以下のような推進方策で研究を行う。研究計画に記載した、①血管内皮細胞に対する作用についておよび②平滑筋細胞、心臓線維芽細胞、心筋細胞などに対する作用についての計画に基づき、共培養系で研究を進める。また、研究計画に記載した、③血中、組織での発現については、当該研究所にて入手している高齢者血清を用いて、糖鎖修飾を含めた発現性について調べる。④血管内皮特異的ノックアウト(KO)による解析においては、計画に記載した通り、心血管組織の解析や運動性の解析を進める予定である。さらに、ApoE-KOとのダブルKOマウスの作成を行い、動脈硬化との関連性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度内計画では、実績報告書の通り、やや遅れていたため、余剰金が発生した。次年度において、計画の通り、in vitroおよびin vivo解析のため、助成金を使用予定である。
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