2022 Fiscal Year Research-status Report
高脂肪食摂取により誘導される細胞外ATPを介した脂肪肝炎,肝癌発症機序の解明
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22K11804
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
三宅 映己 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (80573659)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高脂肪食 / ATP / 発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATP(adenosine triphoshate)は、全ての細胞内に存在し、細胞活動のエネルギー源として利用される。恒常状態の細胞外ATP濃度は10nM以下で維持されるが、細胞傷害によりATPが細胞外に放出されると、細胞外ATP濃度は100nM以上に上昇する。細胞外ATPは傷害細胞由来分子(DAMPs)として働き、免疫細胞を遊走、活性化、炎症性サイトカイン産生を促し、炎症の形成・持続に関与する。しかし、高脂肪食負荷による脂肪化肝細胞の細胞外ATP産生に及ぼす影響やマクロファージを含む肝内の免疫細胞の活性化、さらには肝発癌への関与の有無については不明である。本研究では高脂肪食が、肝細胞内でのATP産生増加、ミトコンドリア機能異常による肝障害、細胞外へのATP放出の増加、肝内マクロファージの活性化、肝発癌へ関与することを明らかにする。 現在、ATP受容体ノックアウトマウスを交配し繁殖させながら、高トランス脂肪酸食、高脂肪コントロール食、通常食を用いて野生型マウスを、高トランス脂肪酸食、通常食を用いてATP受容体ノックアウトマウスを飼育し、血清、肝臓、内臓脂肪を3、6、12ヵ月後に採取を行っている。12ヵ月後のマウスにおいて発癌の有無を確認中である。これまでの結果で、高トランス脂肪酸食で飼育したマウスで発癌の割合が高いが、ATP受容体欠損マウスでの結果は、まだ出ていない。 また、肝臓のATP産生、線維化因子(TGF-β,αSMA)、酸化ストレス(NOX2)の発現を解析中である。さらに、肝臓と内臓脂肪組織からマクロファージ,肝星細胞の分離を行い、炎症や線維化に関する因子について解析を行っているが、細胞の分離が不安定であり、今後検討を繰り返す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
繁殖させたマウスの大きさにばらつきがあり、一定条件で育てることに時間がかかり、実験全体が遅れている。また、肝臓から分離した細胞数が十分でなく、in vitroの条件設定が合わず、現在十分な結果が得られていない。条件の変更を行いながら、現在最適の条件を探している。
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Strategy for Future Research Activity |
高トランス脂肪酸食、高脂肪コントロール食、通常食を用いて野生型マウスを、高トランス脂肪酸食、通常食を用いてATP受容体ノックアウトマウスを飼育し、血清、肝臓、内臓脂肪を3、6、12ヵ月後に採取を継続して行う。飼育後12カ月の肝発癌の有無、癌の個数の観察を継続する。また、組織を用いて、脂肪沈着量、炎症・線維化の程度の観察や肝臓のATP産生、線維化因子(TGF-β,αSMA)、酸化ストレス(NOX2)の発現を検討する。血清を用いて肝酵素、脂質、ケモカイン、酸化ストレスなどの変化を解析する。 肝臓と内臓脂肪組織からマクロファージ,肝星細胞の分離し、マクロファージの分画を確認した後、ATP、脂肪酸で刺激し、炎症性サイトカイン、酸化ストレスの発現、ATPレセプターであるP2X7の発現について検証を行う。また、肝星細胞をATP、TGF-β、脂肪酸で刺激し、肝星細胞の活性化マーカーについて検証する。 マウスから肝細胞を分離し、脂肪酸負荷を行い、濃度別にATP産生能、肝細胞生存率、ミトコンドリア機能、細胞外ATP濃度を測定する。
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Causes of Carryover |
次年度は実験用の物品購入に研究費を使用する予定。特に肝臓内から分離した細胞を用いた実験に必要な物品と、マウスを飼育するための特殊食に多くの研究費をあてる必要が ある。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Role of B Cell-Activating Factor in Fibrosis Progression in a Murine Model of Non-Alcoholic Steatohepatitis2023
Author(s)
Kozue Kanemitsu-Okada, Masanori Abe, Yoshiko Nakamura, Teruki Miyake, Takao Watanabe, Osamu Yoshida, Yohei Koizumi, Masashi Hirooka, Yoshio Tokumoto, Bunzo Matsuura, Mitsuhito Koizumi, Yoichi Hiasa
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Journal Title
International Journal of Molecular Sciences
Volume: 24
Pages: 2509
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Plasma Fatty Acid Composition Is Associated with Histological Findings of Nonalcoholic Steatohepatitis2022
Author(s)
Teruki Miyake, Shinya Furukawa, Bunzo Matsuura, Osamu Yoshida, Masumi Miyazaki, Akihito Shiomi, Sayaka Kanzaki, Hironobu Nakaguchi, Kotaro Sunago, Yoshiko Nakamura, Yusuke Imai, Takao Watanabe, Yasunori Yamamoto, Yohei Koizumi, Yoshio Tokumoto, Masashi Hirooka, Teru Kumagi, Masanori Abe, Yoichi Hiasa
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Journal Title
Biomedicines
Volume: 10
Pages: 2540
DOI
Peer Reviewed / Open Access