2022 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴うビタミンB6代謝の変化およびフレイル予防に必要なビタミンB6摂取量
Project/Area Number |
22K11809
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
叶内 宏明 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (10351884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | フレイル / 栄養疫学 / 認知症 / ビタミンB6 / ピリドキサール5’-リン酸 / ホモシステイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンB6の活性型であるピリドキサール5’-リン酸(PLP)はアミノ酸代謝に関わる酵素の補酵素である。PLPの血中濃度が高齢者で低下すること、認知症患者の血中PLP濃度が低いことが海外の研究で報告されている。一方、日本人高齢者を対象にした血中PLP濃度のデータは少ない。本研究では日本人高齢者の血中PLP濃度および認知機能と血中PLP濃度の関係を明らかにすることを目的とした。 2019年12月までに国立長寿医療研究センター(NCGG)を受診した年齢65~85歳、バーセルインデックス80点以上、ビタミンB製剤非服用者を解析に用いた。対象は、認知症(DM)95名、軽度認知障害(MCI)87名、認知機能正常(CN)84名の計266名とし、血清はNCGGバイオバンクより提供を受けた。血清中PLP濃度はHPLCで定量した。連続変数はSteel-Dwass検定を、度数はχ2検定を用いた。また、PLP濃度を四分位(Q1-Q4)に分けてMCIまたはDM該当を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。 CN群は73±5歳、BMIは22±3kg/m2、PLP濃度は136±142(中央値80)nMであり、欠乏状態である30 nM未満の健常者は1名(1%)だった。PLP濃度と血清アルブミン、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸、総ホモシステイン濃度の間には有意な相関があった。DM、MCI、CNの3群で年齢、教育年数、フレイル該当数、ApoE4アレル有無、葉酸、CRPに有意な差があった。MCI以上の認知機能障害と血中PLP濃度四分位の関係ではQ4(PLP 平均値 280 nM)を基準とした場合、1(PLP 平均値 37 nM)のオッズ比(性別、年齢、教育年数、フレイル評価該当数、ApoE4アレル有無、血清アルブミン、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸、総Hcy濃度で調整)は2.54(95%CI: 0.94~7.11、p=0.067)であった。 健康な日本人高齢者の血中PLP濃度は欧米で報告されている濃度と同程度であった。血中PLP濃度が最も高い集団に対して最も低い集団はMCI以上の認知機能障害と関係がある可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた垂水研究から分譲された血液サンプルの測定が、機器の不具合等で遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
垂水研究から分譲された血液サンプルの測定は順調に進んでおり、予定通り2023年度中にフレイルとPLP濃度の重回帰分析は終了予定である。ビタミンB6吸収をin vitroで評価するためのCaco-2細胞は入手済みであり、腸管様形態に分化する条件を検討中である。
|
Causes of Carryover |
研究分担者に配分していた額に僅かな残額が生じた。少額のため満額を執行することが困難で次年度の実験消耗品と合算して使用したい。
|