2023 Fiscal Year Research-status Report
老化に伴うビタミンB6代謝の変化およびフレイル予防に必要なビタミンB6摂取量
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22K11809
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
叶内 宏明 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (10351884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フレイル / 栄養疫学 / ビタミンB6 / ピリドキサール5’-リン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンB6の活性型であるピリドキサール5’-リン酸(PLP)の血中濃度は加齢に伴い低下し、PLP濃度の低下とフレイルに関係があることが海外の研究で報告されている。これまでに、日本人高齢者を対象とした血中PLP濃度とフレイルの関係は報告されていない。自立した生活を営む日本人高齢者における血清PLP濃度とプレフレイルとの関係を明らかにすることを目的とした。鹿児島県垂水市で実施された垂水研究(2019年度)に参加した39歳以上の男女を対象者とした。生活調査(J-CHS基準に合致した質問を含む)、身体計測、握力および歩行速度測定が実施された。血清PLP濃度の定量はHPLCを用いた。プレフレイル判定には改訂J-CHS基準を用いた。除外基準は<65歳、運動および記憶力に影響を及ぼす病歴、データ欠損とした。解析者は418名(女性244名)、プレフレイル該当者は226名(54%)であった。PLP濃度を四分位に分け、ロジスティック回帰分析にて各因子のOdds比を求めた。プレフレイルに関係する有意な因子は年齢、骨格筋指数、性別、BMI(四分位)、血清PLP濃度であった。これらを因子に加えてプレフレイルへのOdds(95%CI, p値)を求めた結果、血清PLP濃度はQ2(49〜72 nM PLP)を基準とした場合Q1(<49 nM PLP)では1.92(1.05-1.52, p=0.03)、Q3では1.6(0.90-2.94, p=0.11)、Q4では2.0(1.09-3.68, p=0.03)となった。これらの結果は海外と同様に日本人においても血中PLP濃度がプレフレイル発症に関わる独立した因子であること、プレフレイル発症と血中PLP濃度はU字型の関係があることを明らかにした。プレフレイルリスクを低下させるためには適切な血中PLP濃度を保つことが必要である可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ビタミンB6取り込み速度、体内蓄積量、ビタミンB6代謝について高齢ラットと若齢ラットで比較し、加齢に伴う変化があるかどうかを検証する。また、Caco2細胞を過酸化水素で老化させ、ビタミンB6の取り込み速度が変化するかを検証する。
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Causes of Carryover |
血液中PLP濃度の測定に必要な消耗品費用として準備していた額に余裕が生じて2024年度に繰り越した。繰り越した額全て、2024年度に計画している細胞培養実験に必要な消耗品を購入に充てる。
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