2023 Fiscal Year Research-status Report
様々な栄養状態におけるプロテアソームの新たな分子集合機構の解明
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22K11816
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
棚橋 伸行 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (30511927)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロテアソーム / 分子集合 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテアソームによるアミノ酸プールの恒常性維持に関与する分子機序を解明するために、2022年度は、脂質は一定にしてタンパク質と炭水化物の割合を変化させた4種類の餌と通常使用している餌:コントロール(CE-2)を2、6ヶ月間マウスに摂取させ、各餌の血液、肝臓、腎臓、脳を採取した。4種の餌は、総カロリーは同じにして、タンパク質の割合は5%、19%、33%、60%タンパク質で調整した。各餌で飼育した2ヵ月、6ヵ月マウスの肝臓と脳の粗抽出液におけるプロテアソーム、その活性化因子及びシグナル伝達因子のタンパク質の発現を解析した。2023年度は、各餌で飼育した2カ月、6ヵ月マウスの肝臓と脳の抽出液を用いて分子篩クロマトグラフィーに展開し、各分画のプロテアソーム活性とプロテアソームを形成するサブユニットの動態変動を解析した。
解析した結果 1)肝臓において、2カ月はコントロールに比べ、タンパク質の割合が増加すると26Sプロテアソームと20Sプロテアソームの活性が低下した。一方、6ヵ月の26Sプロテアソームの活性はコントロールと4種類の餌で大きな変動が認められなったが、20Sプロテアソームの活性は高たんぱく含量の餌で低下した。 2)脳において、2カ月はコントロールに比べ、5%タンパク質、19%タンパク質、33%タンパク質の餌で26Sプロテアソームの活性が増加し、60%タンパク質の餌は、コントロールとほとんど同活性であった。また、19%及び33%タンパク質の餌では20Sプロテアソームの活性も増加した。一方、6ヵ月の26Sプロテアソームの活性はコントロールと4種類の餌で大きな変動が認められなったが、20Sプロテアソームの活性はタンパク質の割合が増加すると20Sプロテアソームの活性が低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各餌で飼育した2カ月、6ヵ月マウスの肝臓と脳の抽出液を用いて分子篩クロマトグラフィーに展開し、各分画のプロテアソーム活性とプロテアソームを形成するサブユニットの動態変動について研究を進める予定であった。
現時点は、1)肝臓と脳のプロテアソーム活性の結果に関して再現性が認められた。2)プロテアソームを形成するサブユニットの動態まで解析が進んでない。
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Strategy for Future Research Activity |
1)クロマトグラフィーに展開した分画の試料を用いてサブユニットの動態を解析をする。 2)4週齢及び24週齢のマウスを12、24,48,72時間の絶食状態と給餌状態で飼育した後、肝臓及び脳を採取し、次の研究を行う。 (a)プロテアソームのサブユニットの動態の解析:各粗抽出液をクロマトグラフィーにて分画し、その分画を用いてプロテアソームを形成する各サブユニット群の動態をウエスタンブロット法で解析する。 (b)プロテアソームの分子集合に関わるタンパク質の制御機構:粗抽出液を用いてプロ テアソームの発現を制御するmTORシグナル伝達経路による増殖シグナル系とFOXOシグナル伝達経路におけるストレス耐性系に関与する因子の遺伝子とタンパク質の発現変動をReal time PCR法やウエスタンブロット法で解析する。
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Causes of Carryover |
今年度の研究において、研究の焦点を絞り進め、再現性の確認に時間をとり、新な研究手法まで進めることできなった。
翌年度は、通常通り進めることが可能であると考えており、生化学的解析及び遺伝子学的解析のキットや試薬等に使用する
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