2023 Fiscal Year Research-status Report
食事脂質栄養による脳ミクログリア活性化制御機構の解明と高次機能への影響の検討
Project/Area Number |
22K11822
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 啓史 東北大学, 医学系研究科, 講師 (90803867)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミクログリア / アルツハイマー型認知症 / 神経変性疾患 / 肥満 / 脂肪滴 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満や脂質異常症は、認知機能の低下やアルツハイマー型認知症(AD)などの神経疾患の病態とも関連することが知られるが、そのメカニズムの詳細は未だ不明である。近年、脳の免疫系細胞であるミクログリアの活性化機能が、認知機能障害やAD病態に重要な役割を果たす可能性が示されており、その機能制御機構の解明が注目されている。本申請では、ミクログリアの細胞内代謝バランスを介した活性化制御機構に着目し、脂質栄養状態におけるミクログリアの活性化制御機構の解明と、そのミクログリア機能がシナプスの形態・機能やADの発症・進行に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。 これまで、高脂肪食を与えたADモデルマウス(HFD-ADマウス)は、通常食を与えたADモデルマウス(ND-ADマウス)と比較して、脳内にアミロイド斑が多く蓄積すること・神経障害が増悪すること・HFD-ADマウスは、ND-ADマウスに比較して、記憶が低下していることが観察され、高脂肪食摂取により認知症の病態を悪化させることが確認している(未発表データ)。さらに、ミクログリアの局在や形態を脳組織で観察したところ、アミロイド斑に集積するミクログリアがHFD-ADマウスで低下することや、βアミロイドのクリアランスに重要な分子であるTrem2の発現低下を、確認している(未発表データ)。 当該年度では、脳のリピドーム解析を行い、高脂肪食摂取による脳脂質組成の変化を観察したところ、特にエステル型コレステロール(CE)が高脂肪食摂取により増加することが分かった。CEは主として脂肪滴として細胞内に貯蔵される。ミクログリアの脂肪滴形成を観察したところ、高脂肪食摂取群でミクログリアの脂肪滴が増加することを明らかにした。現在、は高脂肪食摂取によるミクログリアの脂肪滴形成メカニズム及び、脂肪滴が増加したミクログリアの機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の年次計画に従って、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果によって示された新たな研究課題である「脳ミクログリアの脂肪滴形成メカニズム」および「脳ミクログリアにおける脂肪滴の機能的意義」を、今後の研究で明らかにする。脳脂質解析で変化が認められたコレステロールエステル(CE)を培養ミクログリアに添加し、脂肪滴形成を観察する。さらに脂肪滴を形成したミクログリアにおけるアミロイド斑への集積や貪食の機能に及ぼす影響について検討する。
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Causes of Carryover |
計画していた予算よりも消耗品の経費を抑えて、研究を実施することができた。翌年度は、脳ミクログリアを単離し、より詳細な分子メカニズムの解析を行うため、翌年度分として請求した助成金と合わせて、単離用キットや抗体類などの消耗品費に充てたい。
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