2022 Fiscal Year Research-status Report
長期記憶誘導効果をもつメラトニン代謝産物AMKの加齢変化と機能性食品への展開
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22K11823
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 数基 東京医科歯科大学, 教養部, 非常勤講師 (10908073)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | AMK / AFMK / メラトニン / 2OH-メラトニン / 記憶力改善 / 加齢 / マウス / 機能性食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症は、本邦において2025年には65歳以上の5人に1人が罹患すると推察されており、医学的にも社会的にも極めて重要な疾患である。そのため治療効果や予防効果を持つ機能性食品の開発が待たれている。我々は松果体ホルモンであるメラトニンの脳内代謝産物であるAMKを、記憶力が低下した老齢マウスに投与すると、長期記憶が誘導されることを明らかにした。加えて、これまでにメラトニンやその代謝産物を多く含む植物を数種類見出しており、認知機能の改善効果を持つ可能性がある食材を絞り込むことに成功している。本研究では、加齢により内因性のAMKがどのような影響を受けるかを明らかにするとともに、記憶関連遺伝子の網羅的解析を行うことにより、AMKの学習・記憶能力改善効果のメカニズムを明らかにする。加えて、メラトニンやその代謝産物を豊富に含む食材から効率よくAMKを抽出する方法を模索し、機能性食品への展開を目指す。初年度は、メラトニンを産生する系統であるC3H/Heマウスを用いて、若齢及び老齢個体における松果体、海馬、嗅周囲皮質および前頭前野を摘出し、メラトニン、N-acetyl-N-formyl-5-methoxykynuramine(AFMK)及びN-acetyl-5-methoxykynuramine (AMK)量をLC/MS/MSを用いて定量する。合わせて、血液中のそれらの物質の濃度も測定する。また、各脳組織からRNAを抽出しAMK合成酵素の遺伝子発現をqPCR法を用いて若齢と老齢で比較する。さらに、脳組織のRNA-seq解析を行い、発現変動遺伝子をKEGG pathway解析、Gene Set Enrichment Analysisにて評価し、記憶形成関連遺伝子群のネットワーク解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
老齢マウスにおけるAMK産生量とAMKが学習・記憶能力に与えるメカニズムを解明するために、本年度はメラトニンを産生する系統であるC3H/He マウスを用いて、加齢に伴い松果体、海馬、嗅周囲皮質および前頭前野におけるメラトニン、AFMKおよびAMK量を定量した。また海馬組織からRNAを抽出し、AMK合成酵素の候補遺伝子であるIDOとTDOの発現をqPCR法にて測定した。おおむね予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、AMKが学習・記憶能力に与えるメカニズムを解明するために、加齢に伴いAMKが低下するとともに記憶力も低下したC3H/Heマウスを用いて、採取した脳組織のRNAを抽出し、RNA-seq解析を行い、発現変動遺伝子をKEGG pathway解析、Gene Set Enrichment Analysisにて評価し、記憶形成関連遺伝子群のネットワーク解析を行う。また、AMKの投与により長期記憶関連タンパク質であるCaMKIVやCREBのリン酸化などの変動をウエスタンブロッティング法にて評価する。
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Causes of Carryover |
立教大学への移動に伴い、脳組織のRNA-seq解析(記憶形成関連遺伝子群のネットワーク解析)を行う作業に時間がかかっているため。
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