2022 Fiscal Year Research-status Report
脳発達期の脂肪酸栄養が発達障害の発症増悪に与える影響
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22K11833
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 由似 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80635087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和田 祐二 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20292211)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | FABP3 / 抑制性介在ニューロン / 多価不飽和脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳発達期の低栄養暴露により、神経発達障害が招来される。この変化は成長後も神経機能に影響を与える。脳内脂肪酸代謝の異常が一因と考えられているが、その分子機構は不明である。本研究の目的は、細胞内脂肪酸輸送体の脂肪酸結合タンパク質(FABP)によって制御される神経細胞の脂質恒常性維持が、生涯を通じた神経活動にどのような意義を持つのか検証することである。神経細胞に特異的に発現するFABP3に注目した。FABP3は野生型(WT)マウスの脳内において胎生期には発現せず、生後7日から21日にかけて脳内発現が増加する。そのため本研究では、7日から21日齢マウスを用いた解析を行った。 本年度の研究では、以下の結果を得た。 1.生後14日齢マウスに、GABA作動性抑制性ニューロン特異的にGFPを発現するAAVベクターを導入し、7日後に抑制性シナプスの形成を観察したところ、野生型と比較して抑制性シナプスの形成異常を確認した。また、生後14日齢FABP3ノックアウト(KO)マウスの特定の脳領域において、mTORシグナルが活性化していることを明らかにした。 2.培養神経細胞株にFABP3遺伝子を過剰発現またはノックダウンすることにより、FABP3の細胞内の量的変化によって、細胞の増殖や成長、栄養状態のセンサーとしても働くmTORシグナル活性が制御されていることを明らかにした。 以上の成果は、精神疾患や健康医学領域の研究発展に貢献することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FABP3 KOマウスの解析等について、期待通りの結果が得られつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書通りに研究を推進する。特にエネルギー代謝解析が不十分である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究では、細胞外フラックスアナライザーを用いた解析に着手していないため、未使用額が生じた。今後、フラックスアナライザーを用いて、野生型マウス及びFABP3KOマウスから単離した抑制性ニューロン内のエネルギー状態を検証する。
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