2023 Fiscal Year Research-status Report
視覚伝達力のあるヘルスラベルの表示形式:アイトラッキングによる実験的研究
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22K11883
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
浅川 雅美 文教大学, 健康栄養学部, 教授 (80279736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 雅雄 文教大学, 情報学部, 教授 (40224042)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アイトラッキング / 栄養ラベル / 視覚的注意 / 総合評価ラベル / 要素評価ラベル / 三色信号機表示 / ニュートリスコア / 食品選択基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
「日本の消費者は、総合評価ラベル(Nutri-Score)と要素評価ラベル(Multiple Traffic Lights;以下、MTLと表記する)のどちらの栄養ラベルを注目するのか。また、その注目度は消費者特性によって異なるのか」について明らかにするために、以下の4仮説を設定して、アイトラッキング実験を行った。仮説1:Nutri-Scoreの方がMTLよりも、最初に注視するまでの時間が短い。仮説2:Nutri-Scoreの方がMTLよりも、合計注視回数が少ない。仮説3:Nutri-Scoreへの合計注視回数は、健康を重視する被験者と重視しない被験者で差があるとは言えない。仮説4:MTLへの合計注視回数は、健康を重視する被験者は重視しない被験者と比べて多い。 2022年に、36名の学生を対象に、1名ずつアイトラッカーが搭載されたPCモニターに、5種類の実験刺激(オリジナルの乳製品のパッケージ)を提示して、被験者の視線の動きを記録した。なお、18名にはNutri-Scoreのついたものを、18名にはMTLのついたものを提示した。さらに、実験終了後に、Steptoe et al.(1995)の確認的因子分析において「健康」次元に属した6項目について質問紙で5段階評定してもらった. 仮説1については、健康的な食品のみにおいて採択されたが他では棄却された。健康的な食品においてNutri-Scoreの方がMTLよりも注目されやすい理由として、色の影響が考えられた。さらに、健康的な食品のNutri-Scoreでは「A」という文字が左端に配置されていることも、Nutri-Scoreが注目されやすい理由と考えられた。 仮説2については、Nutri-Scoreの方がMTLよりも、合計注視回数が少ないことが、4ケースで採択された。 仮説3は全てのケースで採択され、仮説4は3ケースで採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年11月~12月に、37名の大学生を対象に、1名ずつ大学内の専用室でアイトラッキング実験を実施した。具体的には、アイトラッカーが搭載されたパソコンモニターに実験刺激を提示し、被験者の視線の動きを記録して、その後、食品選択における健康重視度を測定する6項目について、質問紙で5段階評定してもらった。アイトラッキングの録画を再生して、実験者と被験者で一緒に見ながら、「当該食品への評価」への回答理由を口頭で回答をしてもらった。 2023年度は、上記の実験で得られたデータを解析して、8月に日本行動計量学会大会で発表をした。さらに2023年9月~2024年3月まで再分析を行って論文にまとめ、3月末に日本行動計量学会に投稿した。現在、査読中である。 上記の論文をまとめることによって、2022年に行った研究の改善点を整理することができた。恐らく、あと一カ月以内に査読結果が返却されると考えているが、その結果も踏まえて、さらに改善点を明確にしたい。そして、それらを反映させた最終実験を2024年度10月~12月に実施する所存である。 なお、2024年度の6月にも最終実験(1回目)を実施することも考えていた。それに向けて、2月末に論文投稿を目指していたものの、実際に投稿できたのは3月末になってしまった。査読結果を充分に反映させた最終実験を実施するには、6月には難しいと判断したため、実験実施予定の期間を2024年度10月~12月のみに変更した。ただし、この2カ月の間に効率的に実験を実施すれば、当初の予定通りの被験者数は集められると考えている。 以上のことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
第1実験では、「研究実績の概要」で述べたのように、設定した4仮説はほぼ採択されたが、いずれも例外があった。第1実験は、1名の被験者に5商品について評価してもらう方法をとったため、5食品の製品カテゴリーや味の部分を変えていた。したがって、被験者間で差を検討する際には問題がないものの、商品間で差を検討するには適切なデータではなかった。そのため、仮説が支持できなかったケースについて深く分析できなかった。 最終実験では、これらの実験条件をコントロールして、具体的には、提示する食品の製品カテゴリーおよび味を統一して、1名の被験者には1商品のパッケージを提示する実験方法にすることも(現在)考えている。ただし、この手法の場合、被験者数を非常に多く必要とするため、先行研究を更に精読して、よりよい実験計画を考えたい。 また、栄養ラベルの効果を考える場合、注目後の認知的・情緒的反応も重要である。第1実験では、それらについての質問が不充分であったが、最終実験では各栄養ラベルに対するイメージ、評価、理解度、好感度およびそれに基づく購買意欲などについても調査を行い、体系的に明らかにしてゆきたい。
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Causes of Carryover |
当初、以下のような計画を立てていた。①2022年度11月~12月に第1実験を実施、②第1実験のデータを分析して、実験計画を微調整して、2023年度に最終実験を実施、③2024年度に学会発表をして論文投稿をする。 しかし、2022年度に実施した第1実験で得られたデータを分析しているうちに、最終実験を有意義なものにするためには、2023年度に一度、学会発表をして、さらに論文化して、他の研究者(レフリー)からコメントを得たうえで、それらを反映させて、第1実験で不足していた調査項目や改善すべき実験手法などについて精査したほうがよいと考えた。 そこで、冒頭に示した②最終実験の実施と③学会発表・論文投稿の順番を入れ替えたため、次年度使用が生じている。
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Research Products
(5 results)