2023 Fiscal Year Research-status Report
トリプルネガティブ乳癌のサブタイプ別にみた大豆イソフラボンの抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
22K11895
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
小野 美咲 中村学園大学, 栄養科学部, 講師 (10441726)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トリプルネガティブ乳癌 / 大豆イソフラボン |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は乳癌の15%程度を占め、化学療法抵抗性、予後不良、早期再発、転移を特徴とし生存率が低い。よって新たな予防および治療オプションが必要になるが、現在のところ確立されていない。大豆イソフラボンはアジア人において乳癌リスクを低減させることが報告されている。本研究では大豆イソフラボンのTNBCに対する抗腫瘍効果を細胞実験にて評価する。TNBCに対してゲニステインとエクオールの併用では、単独添加と比較して、それぞれ約30%および75%増殖を有意に抑制した。さらに、併用添加によりアポトーシスを示すsub G1分画が増加し、同時にDNAの断片化を示すcleaved PARPの顕著な増加がみられた。さらに抗アポトーシス蛋白であるBcl-xLの減少、アポトーシス誘導蛋白のBaxの増加がみられた。 さらに、さまざまなヒト癌の発生、成長、進行、転移に強く関与している Src 癌遺伝子に対する大豆イソフラボンの効果を評価した。ゲニステイン (GEN) は、Src の強力な阻害剤であることが知られているが、その他の大豆イソフラボンであるダイゼイン、グリシテイン、ダイゼインの代謝物であるエクオールについては明らかになっていない。Src活性におけるそれらの機能的役割はv-src を導入したヒト腺癌細胞を使用し、増殖、アポトーシス、細胞周期、およびシグナルタンパク質を確認した。Src導入細胞は GEN に対してより感受性が高かった。 GEN は G2/M 期で Src導入細胞を停止させたが、他のイソフラボンは細胞周期のどの段階でも 停止させることができなかった。 サブ G0/G1 アポトーシス細胞集団は、いずれのイソフラボン成分でも増加しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度に本研究に用いるトリプルネガティブ乳癌細胞の入手の遅延に伴う遅延が生じている
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Strategy for Future Research Activity |
TNBCに対する大豆イソフラボンの併用添加による相乗的な細胞増殖抑制効果の検討及び機序解析を実施するとともに、GENはチロシンキナーゼを阻害するため、Src阻害剤に高い感受性を示すTNBCに対して、強い抗腫瘍効果を示すと考えられる。ゲニステインはSrc高発現細胞に対しても活性が高く、細胞周期の停止が認められた。今後はSrcシグナルに対するゲニステインの影響を解析する。
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Causes of Carryover |
実験の遅延により計画通りに進んでいないため、次年度使用額が生じた。次年度はゲニステイン添加によるSrc細胞に対するシグナル伝達の解析を行う予定である。
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