2022 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に適応的な変化を示す脳構造と機能およびその連関の解明
Project/Area Number |
22K11896
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐々木 章宏 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (10711781)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MRI / 加齢 / ミエリン / 神経突起密度 / 皮質厚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では加齢に適応的な変化を示す脳構造と機能およびその連関を解明するため、加齢に伴い体積減少および菲薄化を示す大脳皮質で加齢に対する適応的な変化が生じているかについて、大脳皮質の微細構造の観点から検討した。18歳から79歳までの健常者から取得した脳構造および拡散MRI画像を用いて、大脳皮質におけるミエリン、神経突起密度、皮質厚などの脳指標の全脳平均値は加齢に伴い、ミエリン及び神経突起密度で単調増加を示し、その一方で大脳皮質厚及び細胞外コンパートメント(グリア細胞などの密度を反映)は単調減少を示すことは従来のこれまでの解析結果により明らかとなっていたが、これに加えて一般化線形モデルを用いて単年当たりの変化量を解析したところ、ミエリンおよび神経突起密度の増加量は20歳頃から単調に小さくなり、60歳を超えるころにマイナスに転じることが明らかとなった。大脳皮質厚及び細胞外コンパートメントはこれとは異なる動態を示し、20歳代から40歳代まで単年当たりの減少率は小さくなり40歳代で0に近くなるが、その後再び減少率が大きくなることが明らかになった。また360個に分画化した各関心領域の脳指標と年齢、性別、認知機能、精神状態、パーソナリティなどの被験者指標との多変量解析を行った結果、加齢や認知機能の低下の度合いがミエリン及び神経突起密度の増大と正相関し、大脳皮質厚及び細胞外コンパートメントとは負相関を示すことも明らかにされた。本研究の成果に関する論文を作成中である。
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