2023 Fiscal Year Research-status Report
A study on Byzantine-tolerant algorithms for mobile robots
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22K11903
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
大下 福仁 福井工業大学, 工学部, 教授 (20362650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 美智子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (30273840)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モバイルロボット / モバイルエージェント / 個体群プロトコル / 動的ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多数のモバイルロボットが協調動作する環境において、一部のロボットにビザンチン故障(ソフトウェアのバグや悪意ある第三者の制御により、予期せぬ動作を行なう故障)が発生しても、残りのロボットで正常に目的を達成するアルゴリズムの開発を目指す。主な成果は以下の通りである。 (a) グラフ環境における耐ビザンチン故障集合アルゴリズム:ロボットの動作環境をグラフでモデル化し、ビザンチン故障が発生したロボットが存在しても、すべての正常ロボットを1ノードで集合させるアルゴリズムを提案した。本アルゴリズムでは、kを全ロボット数、fをビザンチン故障が発生したロボット数とするとき、k>=8f+7であれば集合を実現することができる。本アルゴリズムは前年度に提案したアルゴリズムを改良したものであり、以下の3つの性質を実現している:故障耐性の実現に必要な正常ロボット数を削減している、ロボットが任意のタイミングでアルゴリズムを開始できる、全ロボットが同時に集合完了を認識できる。 (b) リング環境における耐停止故障集合アルゴリズム:ロボットの動作環境をリンググラフでモデル化し、停止故障が発生したロボットが1台存在しても、すべてのロボットを1ノードで集合させるアルゴリズムを提案した。従来のアルゴリズムは正常ロボットのみが1ノードに集合していたが、本アルゴリズムでは停止故障が発生したロボットも含めて1ノードに集合することができる。 (c) ランダムウォークを用いた集合に要する時間の解析:ロボットの動作環境をグラフでモデル化し、2台のロボットがランダムウォークで移動する場合について、その2台が集合するまでに要する時間を解析した。従来研究はロボットがノード間を瞬時に移動すると仮定していたが、本研究ではその仮定を外したうえで解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、2022年度から引き続き、典型的なロボットシステムに対する耐ビザンチン故障アルゴリズムの設計手法の開発を目標とし、代表的な基本タスクである集合タスクに対して、前年度の成果を改良したアルゴリズムを提案することができた。また、停止故障を考慮した集合アルゴリズム、ランダムウォークを用いた集合時間の解析、キャリアグラフにおける集合アルゴリズムなど、研究課題に関連するさまざまな成果を発表しており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、(a)典型的なロボットシステムに対する耐ビザンチン故障アルゴリズムの設計手法の開発、(b)ビザンチン故障耐性と高効率性を両立するロボットシステムの解明に並行して取り組む。(a)については、探索タスク・配送タスクに対するアルゴリズムの検討を進め、設計手法として一般化できる技術の開発を目指す。(b)については、従来より少ない故障数、グローバルな情報を取得できる環境、動作に制限をおいたビザンチン故障などの仮定をおいたうえで、アルゴリズムの検討を進める。
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Causes of Carryover |
学内業務により研究代表者が外国で成果発表ができなかったことから、次年度使用額が生じた。次年度に、成果発表のための旅費として使用する予定である。
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