2022 Fiscal Year Research-status Report
Optimal signal switching control of traffic signal for road construction work in one-sided alternating traffic sections
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22K11920
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
横田 康成 岐阜大学, 工学部, 教授 (00262957)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 交通制御 / 片側交互通行 / 道路工事 / 工事用信号機 / 信号切り替えロジック / 信号待ち時間 / 交通状況認識 / AI信号機 |
Outline of Annual Research Achievements |
片側車線をふさぐ道路工事において片側交互通行となる場合,夜間など交通量が少なければ工事用臨時信号機が利用されるが,通常,事前に設定したタイミングで信号が切り替わる受動的制御であるため,対向車が来ないにも関わらず赤信号で待たされることも起こる.一方,交通量が多くなると複雑な交通状況を把握して適切に交通誘導を行わなければならないため,工事用信号機は使えず,交通誘導員による交通誘導が行われる.本研究では,交通誘導員の負担軽減のため,監視カメラにより周辺の交通状況を把握して工事用信号機の信号切り替えタイミングを適切に制御することにより,従来であれば交通誘導員による交通誘導が必要な中規模の交通量においても工事用信号機の利用を可能にし,信号待ち時間の低減を目指す. 本研究では,まず交通誘導業務を行っている警備会社へヒヤリングを行った結果,青信号側の信号を赤信号に切り替えるタイミングが最も重要であり,その判断基準は,赤信号側で待っている車両の数や時間,青信号側の先頭車両までの距離にもっとも依存し,これらはトレードオフの関係にあるとの結論を得た.つまり,青信号側で赤信号に切り替える際には,安全に先頭車両が停車できる距離があることが重要であるが,赤信号側で待っている車両が少ない場合には,余裕を持った距離をとるが,赤信号側で待っている車両が多い場合には,多少,距離が少なくても赤信号に切り替えて交通を遮断せざるを得ないという考えである. そこで,赤信号側で待っている車両の合計待ち時間と青信号側の先頭車両までの距離(具体的には停止線までの到達予想時間)を変数とする関数(以下,信号切り替えタイミング曲線)により赤信号への切り替えタイミングを定めることにした.また,この曲線は,両車線の交通量(単位時間あたりの車両数)に依存するため,両車線の交通量をパラメータに持つものとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交通誘導業務を行っている警備会社の協力を得て,道路工事で片側交互通行規制の対象となりうるさまざまな道路での動画を収集した.その動画を画像処理することにより,両車線のすべての車両通過時刻を求めるソフトウエアを開発し,実際に車両通過時刻を推定した.また,片側一車線道路で一部片側交互通行の車両の動きを模擬する交通シミュレーターを開発し,先に求めた実際の道路と同様の車両を発生させ,信号制御を行った際の車両の流れをシミュレーションすることを可能にした.この交通シミュレーターを利用し,ある信号切り替えタイミング曲線により信号を切り替えた際の平均待ち時間を算出することを可能にした.さまざまな道路の交通状況において,この平均待ち時間を最小にする信号切り替えタイミング曲線を学習的に求めた.事前に設定された間隔で信号を切り替える従来の工事用信号機を使った場合に比べ,平均待ち時間が大幅に減少させられることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,信号切り替えタイミング曲線は,両車線の交通量をパラメータとしているが,これがほぼ等しい場合でも,最適な信号切り替えタイミング曲線や平均待ち時間が異なる場合があることが分かっている.これは,交通量だけでは実際の交通状況を表現しきれないことを意味する.このことについて詳細に分析した結果,これまで車両はポアソン到着し,車両間隔時間は,指数分布に従うと考えてきたが,実際の道路ではかなり異なる分布であることが分かった.この理由として,前方に車両が見えると追いつき追従したくなる運転者の心理により車両の塊(車団)を形成するからではないかと考えた.この考えに基づき,車両間隔時間の新たな確率モデルを構築する.この新たな確率モデルにより生成された車列に対し,交通シミュレーターを利用して平均待ち時間を最小にする信号切り替えタイミング曲線を求める. 交通誘導業務を行っている警備会社との共同研究により,周辺の交通状況を把握し,こうした信号切り替えタイミングで信号を切り替えるAI信号機の開発を進めている.今年度中に,工事現場での実証実験を行う予定である.
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