2023 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic β-Maxentによる生物多様性予測とそのアプリケーション実装
Project/Area Number |
22K11938
|
Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
小森 理 成蹊大学, 理工学部, 教授 (60586379)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 真透 統計数理研究所, 医療健康データ科学研究センター, 特任教授 (10168776)
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 教授 (50295234)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 生物多様性予測 / 計算効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球規模のデータで生物多様性予測を効率よく行うためのアルゴリズムの開発に従事した.これによりMaxentやPoisson point processによる生物多様性予測の飛躍的な効率化を実現し,Dynamic Maxent, Dynamic β-Maxentなどの時空間を考慮した生物多様性予測の計算効率の基盤技術の確立に大きく貢献した.具体的にはMaxentの規格化項の計算,またはPoisson point processの強度の数値積分の計算を,観測地点のbackgroundデータに関するcumulant近似を行うことにより,地球規模のデータにおいても1次と2次のcumulantの計算をアルゴリズムの実行前に計算することで,計算効率の飛躍的な向上を達成した.また様々な実データセットや数値シミュレーション実験によりその計算効率を評価し,生物多様性の予測の精度も従来法と比較し同等レベルを達成することを確認した. またこれらの成果は国内での学会,国外での学会,国外での研究でそれぞれ発表を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況は以下のようにまとめることができる. 1.大規模データを用いた生物多様性予測で課題となっていた計算効率の問題に対し,効率的なアルゴリズムの開発を行うことができた.2.アプリケーション開発において,上記のcumulantを用いた計算効率を向上させたMaxent, Poisson point processの実装をRを用いて着手した.3.Japanese Journal of Statistics and Datascienceの特集号を企画し,国内外の最新の生物多様性予測の研究の取りまとめを行った.4.いくつかの成果を学会発表,論文執筆を通して公表した.5.生物多様性データは様々な時点で断続的に観測されているため,空間的時間的に多くの欠損値を含んでる.そのため将来予測を精度よく行うためにはまずはこの欠損値をどのように扱うかを慎重に検討する必要が出てきた.6.この問題を解決するために時系列データにおける欠損値の扱いに造詣が深い,University of Central FloridaのHsin-Hsiung Huang教授との議論を本格的に開始した.
|
Strategy for Future Research Activity |
以下の手順で研究を進める. 1.生物多様性予測に用いるデータに多くの欠損値を含むため,まずはこの欠損値の問題に着手する.具体的にはHsin-Hsiung Huang教授の専門であるGaussian process modelを検討し,今回の生物多様性予測にも効果的であるかを検討する.2.生物多様性予測は複数の種の交互作用を考慮する必要があり,複数の種を用いたintegrated Maxent, Poisson point processのモデルも検討する.3.上記の複数種のデータをうまく使い,それぞれのデータの欠損値を補完するアルゴリズムの開発に着手する.4.上記の3つの課題を解決し,Dynamic-Maxent,Dynamic β-Maxentの本格的な開発に取り組む.5.その際本年度で開発した計算速度向上のアルゴリズムを援用し,計算効率がよくまた予測精度も高い手法に改良する.6.その後国内外の学会発表,論文執筆を通し研究成果を広く公表するとともに,アプリケーション開発により教育現場にその研究成果を広く普及させる.
|
Causes of Carryover |
数千円程度の残金が生じた.翌年度分の助成金と合わせ,物品購入または出張費用で使用予定
|