2022 Fiscal Year Research-status Report
マルチホップ電力・情報伝送による無線給電型IoT無線ネットワークの高性能化
Project/Area Number |
22K11991
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森 香津夫 三重大学, 工学研究科, 教授 (90324540)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / マルチホップ伝送 / 電力枯渇 / IoT/M2Mネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,無線給電(無線電力伝送)型のIoT無線ネットワークにおいて発生するIoT/M2M端末での受電性能と通信性能の地理的不均一性の課題に着眼する.当該ネットワークでは,給電装置や情報収集装置から遠方に位置する端末は小さな受電量と大きな消費電力量の2重苦に陥り(以下、「2重苦問題」と呼ぶ),これに起因した通信性能劣化を抑制することが重要課題となっている.そこで本研究課題では,この2重苦問題を緩和して高い通信性能を提供可能な高性能無線システム構成技術の確立を目的とする. 2022年度は,まず,マルチホップ電力伝送を適用した無線給電型IoT無線ネットワークのシステムレベルでの性能評価が可能なシミュレーションモデル(プログラム)を構築した.次に,マルチホップ電力伝送により端末の電力枯渇がどの程度改善するかを,理想的電力伝送環境で算出した.ここでは,詳細な電力伝送劣化要因を考慮せず,距離(減衰)による劣化のみを考慮した上限性能としてマルチホップ電力伝送の導入による改善効果を定量的に評価した. その結果,マルチホップ電力伝送により、端末における電力枯渇率が改善することを明らかにしている.また、無線電力給電装置と端末のアンテナ利得と電力枯渇率の改善度合について調査し、著しい性能改善を得るためにはある程度のアンテナ利得が要求されることを明らかにしている. 本研究成果は,国内学会にて公表されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,計画調書で研究内容として,マルチホップ電力伝送を適用した無線給電型IoT無線ネットワークのシステムレベルでの性能評価が可能なシミュレーションモデル(プログラム)の構築と,マルチホップ電力伝送により端末の電力枯渇がどの程度改善するかの理想的電力伝送環境での評価を設定していた。実績として、上記の2点について実施することができた. したがって,上記の状況から,研究進捗を当初計画通りに進めることができたため、進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は,2022年度の研究で得られた知見に基づき,マルチホップ電力伝送の構成要素がネットワーク性能に与える影響について調査する.構成要素として,中継端末位置,同時中継端末数,中継信号送信電力 等を取り上げ,これらのネットワーク性能(端末電力枯渇率やデータ収集率)への影響を定量的に明らかにする.ここでは,2022年度研究で理想化した各種劣化要因も考慮した評価とする. 研究方法は,当年度以降も2022年度と同様に,机上理論検討による各種制御方式の考案と,計算機シミュレーションによる特性評価が主体となる.シミュレーション規模の増大が予想されるため,シミュレーション環境を増強する予定である. 研究成果発表については,国内学会の大会や研究会,さらには国際学会において研究成果発表を進める.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症渦で研究調査旅費と成果発表旅費の支出が不要となったため. 次年度以降において、物品費として使用を計画している.
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