2022 Fiscal Year Research-status Report
Information Delivery System using Mobile Wirelsss WAN based on Mathematical Model in Sciences
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22K11995
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
小畑 博靖 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (30364110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 知佐 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (60509058)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モバイル無線LAN / 情報配信システム / 現象数理学モデル / Delay Tolerant Network |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では、以下のようにモバイル無線LANに基づく高速かつ効率的な情報配信制御の検討を実施した。 (1)モバイル無線LANを利用した情報配信制御の基礎検討として、分割ファイル配信技術とオーバーヒアリング技術を組み合わせた情報配信方法を検討した。オーバーヒアリング技術では、1対1の無線通信を第3者の端末が聞き取り取得することで、1対多通信を実現できるため、情報配信の効率化が期待できる。また、提案方式では、情報の拡散状況に応じて無線LANの伝送レート制御を組み合わせることで、従来技術よりも広域に高速かつ大容量なデータ配信が可能となる可能性がある。数値計算による評価の結果、提案方式は従来のブロードキャストに基づく情報配信方式よりも高い配信効率が得られることがわかった。 (2)無線による情報配信で利用される可能性が高い無線マルチホップ通信において、通信効率の向上を目指した結合振動子の同期現象に基づくメディアアクセス制御を検討した。提案方式では、同期する範囲をクラスタリング技術により決定することで、データフレームの衝突を回避しながらも、最大限無線チャネルの利用効率を向上することを目指している。シミュレーションによる評価の結果、提案方式は、従来の同期現象に基づくメディアアクセス制御よりも高いスループットを獲得できることがわかった。 (3)無線LANを用いたデータ伝送において発生する端末間のスループット公平性を向上させるためのデータ送信間隔の制御について検討した。ここでは、生物が一定領域内で増殖する際に個体数が飽和する様子を示した数理モデルの一種であるロジステック関数を用いて、データ送信間隔を調整する仕組みを導入した。シミュレーションによる評価の結果、従来方式よりも提案方式のスループットが高く提案方式が有効であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、モバイル無線LANに基づくメッセージフェリーによる高速かつ効率的な情報配信制御を実現するため、(1)通信の競合・干渉を考慮したモバイル無線LANによる高速伝送技術の検討、(2)効率的な情報収集を実現する情報取得技術の検討、(3)情報配信システムのプロトタイプ実装および評価、の3つのステップを設定して進める。初年度は、主に通信の競合と干渉を考慮した情報配信技術について検討した。具体的には、分割ファイル配信技術とオーバーヒアリング技術を併用した広域伝送技術、結合振動子の同期現象とクラスタリング技術を組み合わせたメディアアクセス制御、および、ロジステック関数を利用したデータ送信間隔制御、を検討した。それぞれにおいて、従来方式と比較して提案方式が有効であることを確認している。得られた成果の一部は、IEEEの国際会議および電子情報通信学会の論文誌と研究会等において発表しており、概ね計画通りに進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は以下のように研究を進める予定である。 前年度に引き続き、第1の検討ステップである通信の競合・干渉を考慮したモバイル無線LANによる高速伝送技術の検討を進める。ここでは、初年度に提案した各方式における課題を整理し、それらを改善することを目指す。さらに、次年度は情報配信に加えて、第2の検討ステップとしている効率的な情報収集を実現する情報取得技術の検討も開始する予定である。この検討では、情報の取得範囲の決定や伝送レートの効率的な設定方法などについて考慮する予定である。さらに、得られた成果の研究会および国際会議での発表や学術論文への投稿・掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、年度内に予定した研究発表に伴う出張のいくつかがオンラインになったことで旅費に関する予算の執行が予定よりも少なくなった結果、次年度使用額が発生した。また、事前に想定していなかった既存機材が一部実験に流用可能であった点も要因である。今年度は、新型コロナウィルス感染症の影響を受ける可能性は低くなると予想されるが、利用用途を十分検討し、有効利用する予定である。
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