2022 Fiscal Year Research-status Report
B5G網における多層ネットワークスライス共生環境構築手法
Project/Area Number |
22K12022
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
平山 孝弘 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所ネットワークアーキテクチャ研究室, 主任研究員 (70745687)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ネットワーク仮想化技術 / ネットワークスライシング / 複雑系ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、Beyond 5Gおよび6G網のような、通信品質の要求が多岐にわたる環境において、サーバへの負荷集中を避けつつサービス品質も大きく損なわない、マルチプレックスネットワークの特徴に着目したネットワークスライス設計手法について検討を進めている。令和4年度は、複数の層を跨ぐネットワークでのスライス構築手法の初期検討と、提案手法の適用先の一つとして想定される、地上(Terrestrial)/非地上(Non-Terrestrial)統合ネットワーク(TN/NTN統合NW)に関連する技術研究の調査をを行った。 先行研究では、顕著性と呼ばれる指標に基づき、単一(シンプレックス)ネットワークにおいてネットワークスライスを構築する手法について提案した。令和4年度は、計画の初期段階として、複数の層からなるマルチプレックスネットワークにおけるスライス構築手法について検討/初期評価を行った。マルチプレックスネットワークでは、媒介中心性などのネットワーク指標が高い値を示すノードの傾向が、単一ネットワークとして評価した場合と異なることが確認されている。今年度の初期評価により、顕著性についても同様の傾向が見られることを確認した。得られた知見をもとにマルチプレックスネットワークにおけるスライス構築手法の検討を進めている。また、その成果は、TN/NTN統合NWにおけるネットワークスライス構築へ応用できると考えられる。TN/NTN統合NWは、地上ネットワークに加えて、GEO、LEO、HAPSなどの高度の異なる複数の衛星や航空機からなる非地上ネットワークを組み合わせて、カバレッジの拡大などを行うものである。これをマルチプレックスネットワークの一種とみなすことができるため、初期段階の成果はTN/NTN統合NWのための技術としてまとめ、学会等で発表する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、先行研究である顕著性に基づくネットワークスライス構築手法と、複数の層からなるネットワークであるマルチプレックスネットワークの知見を掛け合わせることで、複数のネットワークスライスを収容可能にするネットワーク設計手法を確立することを目指している。令和4年度には、初期検討/評価により、マルチプレックスネットワークにおける、顕著性が高い値を示すノードについての分析を行い、マルチプレックスネットワークに適したネットワークスライス設計手法について検討した。評価の結果、顕著性もまた他の指標と同様に単一ネットワークとは異なる特徴を示すことが確認され、その傾向を考慮したネットワークスライス構築手法について検討を進めている。また、初期検討/評価により得られた知見の応用先としてTN/NTN統合NWを想定し、トイ・モデルにおけるシミュレーション評価を進めている。成果の一部は令和5年度中に発表する見込みであり、概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初期検討では、マルチプレックスネットワークを構成する複数の層を跨ぐネットワークスライスの設計のために、マルチプレックスネットワークにおける顕著性の高いノードの傾向などを分析し、スライス設計手法への応用について検討している。令和5年度は、初期検討の成果をまとめ、国内学会等に投稿する予定である。また、本計画では、複数のスライスが共生する環境をマルチプレックスネットワークの一種として捉え簡略化することで、計算量を抑えつつ性能を維持できるネットワークスライス設計手法の検討に取り組む。
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Causes of Carryover |
令和4年度の研究成果を、学会等に投稿すべく準備を進め、掲載料および旅費に充てる計画であったが、既存研究の調査および提案手法の検討/性能評価に専念し投稿を見送ったため、次年度使用額が生じた。当該金額は、昨年度末から今年度初頭にかけて作成した論文原稿の、論文掲載料および旅費に充てる計画である。
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