2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of high performance and accuracy eigenvalue solvers for quantum many-body systems
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22K12052
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山田 進 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (80360436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 佑紀 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 副主任研究員 (20587026)
町田 昌彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主席 (60360434)
宇都野 穣 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (10343930)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高性能計算 / 固有値計算 / LOBPCG法 / 量子多体問題 / 複数固有値 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子間に強い相関のある量子多体モデルの物理的性質を知る方法の1つとして、モデルのエネルギーを表現する行列であるハミルトニアンの固有値・固有ベクトルを計算する方法がある。そこで、本研究では、量子多体問題から導かれるハミルトニアンの1つまたは複数の固有値およびそれに対応した固有ベクトルを高速に計算することを目標としている。 令和4年度は、固有値計算の反復法の1つであるLOBPCG法の高速化を対象に研究を進めた。この方法は解ベクトル、探索方向ベクトル、残差ベクトルを用いた反復計算により固有値・固有ベクトルを求める方法であり、これらのベクトルを複数個用いて反復計算を行うことで複数の固有値・固有ベクトルを計算することができる。しかし、求める固有値・固有ベクトルの個数が増加すると収束するまでの反復回数が非常に多くなることがある。この問題を解決するため、反復に利用する探索方向ベクトルを少ない計算量で適切に修正するすることで収束性を向上させる方法を提案し、その有効性を確認した。また、複数の固有値・固有ベクトルを同時に計算しているため、先に収束した固有値・固有ベクトルに対応した残差ベクトルのノルムは小さくなり、反復計算には利用できなくなる。そこで、この利用しない残差ベクトルの代わりに収束していない固有値・固有ベクトルの残差ベクトルのKrylov列を用いる方法を提案し、計算量を増加させることなく収束性を向上できることを実際の並列計算から確認した。さらに、この反復計算を安定に実行するためには、反復に用いるベクトル群が直交している必要があり、LOBPCG法のアルゴリズムの特徴を利用し、上記のベクトルの修正を行いつつ、ベクトル同士を高速に直交化する方法を提案し、実際の並列計算により安定かつ高速に計算することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LOBPCG法を用いた複数固有値の計算の高速化を実現しており、高速化の研究は順調に進んでいる。また、物理研究についても成果が得られ、その成果をまとめた論文が出版されており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチGPU環境での高速化・並列化についても研究開発を進めていくとともに、実際に、開発したコードを量子問題に適用し、新たな物理的知見を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)研究成果が得られた時点で申し込むことができる適した会議等がなく、参加費・旅費を繰り越した。 (使用計画)既に新規の研究成果は得られており、その成果に適した論文誌への投稿料や会議の参加費・旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)