2022 Fiscal Year Research-status Report
Overdamped Langevin方程式向けの時間積分並列化手法
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22K12063
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
藤井 昭宏 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (10383986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 武史 北海道大学, 情報基盤センター, 教授 (30324685)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 並列時間進 / 半陰解法 / 代数的多重格子法 |
Outline of Annual Research Achievements |
質点とバネが直線上に接続された物体についてのOverdamped Langevan 方程式に従ったシミュレーションをベンチマーク問題として扱っている。このシミュレーションのTSC法の効率の良い適用方法を模索する研究と、シミュレーション一般に利用される代数的多重格子法の収束性の改善手法の研究を行なった。 TSC法はタイムステップ間の依存関係を一定タイムステップごとに切断し、時間進展を並列に進める手法である。一定タイムステップごとの並列時間進展と、それぞれのタイムステップのヤコビ行列を使った粗い解の補正を交互に収束するまで繰り返す。 今年度は、ヤコビ行列を通常利用されているまま適用するのではなく、Overdamped Langevan方程式に対する半陰解法で提案されているように、ヤコビ行列に負の固有値が発生しないように補正したものを用いて性能が改善するか実験的に検証を行った。その結果、補正を行う閾値の調整をすることで、改善幅は大きくないが、TSC法の収束性が改善することがわかった。補正効果がそれほど大きくならなかった理由は、ヤコビ行列を解く際の安定性を上げる効果が、ヤコビ行列の補正精度を下げる効果と相殺してしまったためと考えられる。これらの実験結果を整理し、国際会議HPCAsia2023にてポスター発表を行った。今後は、安定性が問題となりそうな時にのみ半陰解法の適用を考えたい。 また、線形解法の代数的多重格子法(SA-AMG)についても改善に取り組んだ。一般的には、問題行列のニアカーネルに対応する成分を設定することが多いが、本研究では緩和法の反復行列に注目して収束しにくい成分を最大固有値成分として抽出する手法を考案し評価した。その結果、従来手法と同等もしくはそれ以上の収束性を確認できた。今後は、この成分の計算コストを抑えながら収束性の改善を最大化する手法を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象とするシミュレーションに対してTSC法を適用した際の性能の見積もりを出すことができている。適切な収束条件の設定などを含め、まだ、考慮しないといけない重要なことはあるため、それらも含めて有効な分析、提案ができるように次年度以降進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、対応すべき課題としては、TSC法の収束条件の設定をどのように設定するかが挙げられる。本研究の対象としているランダムな力が発生するようなシミュレーションでは、対象物の物性が再現できていればシミュレーションとしては十分であるが、TSC法では時間ステップ幅が小さいシミュレーションと全く同じ結果が出るまで反復的に補正を繰り返すため、収束条件が厳しすぎる設定になっているケースが多い。この収束条件の適切な設定を考えるためにも、半陰解法で時間ステップ幅を広く取って安定に時間進展を行えるようになった場合と、時間ステップを小さく進めた場合とで、物性の再現がどのようにできているか、などについても研究を行う必要がある。
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Causes of Carryover |
今年度TSC法に組み込んだヤコビ行列の安定化手法は、効果が想定以上に大きいということではなかったため、発表の機会が少なく、そのための予算が残された。次年度はまた半陰解法自体についての研究を進めることで成果発表、公開について予算を割り当てていきたい。
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Research Products
(2 results)