2022 Fiscal Year Research-status Report
複屈折反射特性の計測に基づくあらゆる条件下における能動的材質認識
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22K12096
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
日浦 慎作 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (40314405)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 偏光 / LiDAR / ミュラー行列 / 偏光反射特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
偏光反射特性に基づく材質識別について,偏光カメラには多数の画素があるため,テクスチャ(模様)の撮影ができ,このテクスチャが識別精度の向上に寄与する.これに対し,1点ずつ撮影を行うLiDAR等に偏光デバイスを搭載して認識しようとしたときには解像度が下がる.この影響の評価を評価した.また,LiDARで偏光情報を得るときには,偏光制御デバイスへの入力を変化させて順次計測を行うため,完全な変更情報を得るためには時間を要する.さらに変更制御デバイスも複雑となるため,変調自由度を下げたほうが計測速度とコストの両面で有利になる.さらに,RGBカラー画像でなく1チャンネルだけで認識することも計測時間とコストの低減に寄与するが精度の低下が危惧される.これら3点について評価を行った. RGB3チャネルからモノクロ1チャネルへのチャネル数の削減,4x4ミュラー行列から3x3ミュラー行列へのチャネル数の削減(円偏光の計測の省略),解像度の低下(最大64x64画素の移動平均),これらを行ったときにはそれぞれ認識精度の低下は見られるものの,すべてを行った場合でも12ポイント程度の低下にとどまることがわかった.具体的には,RGB3チャネル・4x4ミュラー行列を用いた時の材質識別の正解率が89.2%であったのに対し,モノクロ1チャネル・3x3ミュラー行列を用い,さらにこの画像を64x64画素の移動平均を行った場合の正解率は77.4%であった.よって,特に解像度低下の影響は軽微であり,偏光を用いて材質識別する手法はLiDARでも有効なことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
偏光を用いた材質識別に関する研究は順調に進展している.ただし,実験は偏光カメラを用いた計測結果をもとにデータ削減や移動平均を用いたシミュレーションとなっており,実際にLiDAR(距離計測デバイス)に偏光変調デバイスを組み込んだ実験は実施できていないため,今後の研究課題となる. LiDAR等の光飛行時間計測デバイスに用いられているSPADやピコ秒パルスレーザ等の高速光デバイスを用いると,光が半透明物体に入射した時の表面下散乱の様子(光が広がっていく様子)を画像化することができる.この手法を用い,物体に光が入射したときの偏光解消の過程を分析する研究も行っており,2022年度には偏光ごとに表面下散乱のトランジェント現象を画像化することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
偏光計測と,その結果の深層学習に基づく材質識別についてさらなる精度向上を図るとともに,装置化に関する研究を行う.さらに,SPADとピコ秒パルスレーザを用いた光伝搬の解析により得た知見から,偏光が材質識別に有効であることの根拠となる反射メカニズムの解析を行う.
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響等でオンライン会議などを活用し,出張を行わずに旅費を要しなかったため。
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Research Products
(6 results)