2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of digital image enhancement method aimed at improving visibility for elderly persons
Project/Area Number |
22K12097
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
畔津 忠博 山口県立大学, 国際文化学部, 教授 (70285451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末竹 規哲 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (80334051)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高齢者視覚 / 色覚多様性 / 画像強調 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタル画像・映像デバイスの社会への浸透と急速に進む高齢化社会において,視認性に優れた画像の表示を行うことは,高齢者への配慮や色覚多様性の観点から円滑な社会生活を営む上で重要な課題である.本研究では,高齢者の視覚特性や色覚多様性を考慮した画像強調法を開発することを目的としている.令和5年度では,下記のことを行った. 1.色覚多様性の問題に対してRGB色空間における幾何学的アプローチによる方法を考案した.ヒトの錐体細胞の反応を表現するLMS色空間とデジタルデバイスで一般的に用いられるRGB色空間が線形的な関係であるため,LMS色空間の基底であるL・M・S軸は,RGB色空間においては色が同化する直線となる.また,色覚多様性における色相はRGB色空間の等色相平面として捉えることができる.これらの幾何学的な枠組みを利用した新たな画像表現方法を導入し,画像強調に利用する. 2.色域の把握が容易なRGB色空間上で明度のみを修正することで,3色覚者にとって奇妙な印象を与えず,かつP型及びD型2色覚者にとって色弁別の容易な画像を高速に生成できる方法を提案した.提案手法では,RGB色空間で弁別困難色の度合いを示す評価基準と色みの違いを示す距離尺度を導入することで,他の色空間への変換を必要としない高速な処理を実現する. 3.高齢者の色覚特性を考慮した明度変換に基づく色相保存型の画像強調法を提案した.提案手法では,水晶体の加齢変化と老人性縮瞳を考慮した高齢者色覚シミュレーションによって算出された若年-高齢者間の実効明度比に基づいた明度変換を行った後に,得られた明度変換画像に対してS字関数を用いたコントラスト強調を行い,最後に色相保存処理を行うことで,高品質な画像処理を実現する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
色覚多様性の問題における幾つかの画像処理方法や高齢者の色覚特性を考慮した画像強調法を提案した.ただし,各方法において,さらなる高品質化や高速化が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者への配慮や色覚多様性の観点に基づいて,視認性に優れた画像強調の方法を開発することを目指す.具体的な今後の研究計画は,下記の内容である. 1.色覚多様性の問題に対してRGB色空間における幾何学的アプローチによる方法を進展させる.RGB色空間において2色覚と3色覚の関係性を理解するための画像表現とそれを利用した画像強調法を考案したが,さらに品質を向上させることが必要である.特に強調後の色域の問題を解決することや2色覚での見やすさを改良することなどを目指す. 2.RGB色空間上で明度のみを修正することで高速化を実現したが,さらに高品質化を目指す.色相・彩度・明度の関係性に留意し,最適化を行うことによって.3色覚者にできる限り違和感を与えず,2色覚者の色弁別を容易にする方法を検討する. 3.CIELAB色空間における色相を限定した画像強調法は以前に提案したが,この考え方を色覚多様性や高齢者視覚の問題に関して応用することを検討する.色相を限定する方法はCIELAB色空間の色相に適切な重み関数を設定することで実現できるが,この色相の限定方法を,それぞれの問題に合わせて適切に改良し,明度や彩度の調整に利用する. 4.高齢者視覚において画像のコントラスト強調や色相保存などを導入することで,高品質化を実現する方法を提案しているが,さらに画像の鮮鋭化などの考え方を適用する.また,画像を評価する客観的な指標や実際の画像を被験者に確認してもらう主観的な評価により提案する画像強調法の有効性を検証する.
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