2023 Fiscal Year Research-status Report
遠隔コミュニケーションシステムにおいて実在感を与える仮想音源生成法の開発
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22K12113
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
渡辺 貫治 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (20452998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 正之 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (90756636)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バーチャルリアリティ / 収音・再生 / 臨場感 / 実在感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ある空間で仮想的な音源(仮想音源)を提示する際,その仮想音源があたかもそこにあるかのような感覚(実在感)を聴取者に与えるような信号処理の開発を目標とする.従来の方法では,点音源を仮定することが多く,音源の大きさや向きによる違い(放射特性)を考慮していない.また,再生する空間の音響特性も考慮されないことが多い.本研究では,実在感の実現として,点音源を仮定して再現された仮想音源に,音源の放射特性と再生空間の特性,特に残響特性を付加する信号処理法を提案し,その有効性を評価する. 令和5年度は,前年度に引き続き残響特性の付加による効果を検討した.信号処理の方法は変更せず,聴取者がいる室(空間)の残響特性を前年度とは異なる室で検討を行った.聴取実験の結果,全体的な傾向は前年度と同様だったものの,響きがやや大きく感じたこと,定位方向が実音源からずれていたことなど,室の変更による聴感の相違が示唆された.これらの問題は,残響を付加する際のレベルや両耳間時間差・レベル差の調整で解決できると考えており,引き続き検討を行うこととする. また,放射特性の付加の効果は検討しなかったものの,放射特性を取得するためのマイクロホンアレイ処理については検討を進めた.ビームフォーミングにおいてサイドローブの影響を押さえる処理を提案し効果を確認したところ,収音の精度が従来法より向上し,さらに周波数依存性も低減できたことで小型のアレイで実装可能であることも示された.また,実空間での性能も評価し良好な結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案法としては課題が示されたものの解決可能と考えられる内容であり,それらを解決することで提案法がより実在感を高めた方法となる見込みがあると考えている.また,前年度の成果は国際会議にて発表を実施した. 以上のことから順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
概要でも述べたように,付加する残響のレベル,及び両耳間時間差・レベル差の調整による実在感の向上を検討する.残響のレベルはいくつかの条件を設定し,聴取実験によって最適なレベルを明らかにする.両耳間差については,頭部伝達関数が得られていることが提案法の前提なので,それらから時間差・レベル差を算出して残響成分の両耳間差を調整する.その効果を聴取実験によって評価する.
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Causes of Carryover |
(理由)主観評価実験を計画していたが,既存の実験装置で対応可能だったため予定していた支出が抑えられた.
(使用計画)当初の予定通り条件を増やして主観評価実験を行うために必要な装置の購入に充てる予定である.
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Research Products
(13 results)