2022 Fiscal Year Research-status Report
手足が自由に動かせない状況においても身体所有感が得られるVRスポーツの実現
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22K12118
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀越 力 湘南工科大学, 工学部, 教授 (00739782)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヴァーチャルリアリティ / 筋電センサ / スポーツトレーニング / 身体所有感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、VR体験者の動きを、VR空間内の身体に同期させ、「自分がVR空間内で動いているという感覚が得られるか」について、様々な条件で検証を進めている。一つ目は、サッカーのゴールキーパーの体験をイメージした装置を構築し検証を行った。VR体験者は、ゴールキーパーの視点で前方から飛んでくるボールを自分の手で弾くというアプリケーションを製作し検証した。この実験では、体験者の身体を表示せず、自分の手(に連動したVR空間内の手の平)のみを表示し、自分が操作している感覚が得られるかを検証している。手のひらのみの提示であっても、自分の手を動かしているという感覚が得られる可能性があることが確認できた。 もうひとつは、生体情報として、筋電センサの利用並びに重心移動の検測手法を検討している。具体的には、バトミントンの動きを再現することを目指し、手(上腕、前腕、手のひら)の動きを筋電から得られるようにするため、どのような位置に筋電センサを取り付けると効率よく計測が出来るかを検討している。また、バトミントンではグリップの握り方も重要であることから、前腕の筋電を計測し、指の動きを推測できないか、また、グリップを握っている力のかけ方などを計測する手法を見いだすべく検証を続けている。また、バトミントンに限らず、スポーツにおいては、重心移動が重要なポイントであるため、インソールの圧力センサを利用して、重心の動きが計測出来ないかどうかの検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
力覚と触覚を用いたゴールキーパー体験システムを製作し、体験者のアンケート調査を実施した。体験者の手のみを表示(身体は表示しない)状態であっても、自分の手でボールを弾いているという感覚を得ることが可能であることを確認した。また、ボールを弾く際に、振動モータにより振動を与えることで、自分でボールを弾いたという感覚が強調される可能性は示唆された。現状は被験者数が少ないため、統計的な有効性は、まだ確認できていない。 体験者の動きをモーションセンサ並びに筋電センサを使って取得し、アバターの動きを連動させる予定であるが、当初予定していた筋電センサでは、リアルタイムに計測データを利用することが難しかった。そのため、別の筋電センサの利用を検討開始した。具体的には、Arudinoに接続できるMyoWareセンサを複数利用し、腕の動きを計測するシステムの構築を進めている。体重移動の計測に関しては、インソール型の圧力センサの検討を開始している。運動時のどのような体勢であっても、足裏の圧力から重心移動を計測できるシステムの検討を進めている。 また、本研究の目指しているゴールを実現すべく実験系の構築を開始している。体験者と異なる動きを利用して、VR空間内で動きを制御する方法に関しては、椅子に座った状態で、足の動きを筋電センサで取得し、VR空間内で走り回る方法を検討している。どの部位の筋電を計測することが効率よいかを調査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
運動主体感・身体所有感の有無を検証するために、具体的などのような「動き」を検証するのがよいか、動きの種類の絞り込みが重要と感じている。現状は、バトミントン、サッカー、サーフィンなどの動きを想定しているが、これらの種目は、被験者(体験者)の視野が広く、視覚的な情報量が多い。つまり、運動主体感・身体所有感などを誘発する要因が多く、これらの分析手法については十分な検討が必要となる。そこで、視覚的情報量が少ない種目として、剣道を想定した実験系の検討も進めていくこととした。剣道であれば、防具(マスク)を装着しているため、体験者の視野がかなり制限される。そのため、HMDを使った検証としても相性が良い種目と考えたからである。 また、評価実験におけるデータ数が不足しているため、結果の有効性を十分に得ることができていない。今回、各種目の大学のサークル等に協力を依頼するなどして、被験者を多く集め、計測データの収集を進めていく。 また、VR空間を動き回るためのVR空間の構築の検討を進めている。そこで、Clusterなどのメタバース空間を利用することを予定している。
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Causes of Carryover |
筋電センサのリアルタイムデータ取得がうまく動作せず、目標とした動作取得の実験系システムが完成していない。リアルタイム計測の基礎検証が完了後、筋電センサなどの生体情報を取得しながらVR空間で動き回れるシステムを構築していく。これらのシステム購入費用が次年度に繰り越しとなっている。リアルタイムセンシングを含めた実験系システム構築を次年度進めていく。スポーツ種目を想定していることから、複数人での対戦が可能なように、各システムを2つ構築し実験を進める。体験中の外の映像も見えるビデオシースルーが可能なHMDデバイス(18万x2)、データ解析用PC(15万x2)、各種センサ系のデバイス製作(10万)、また、被験者実験(1万x20名)を想定している。
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