2022 Fiscal Year Research-status Report
所望の画質で3D映像を再生するための光線像再生式テーブル型3Dディスプレイの研究
Project/Area Number |
22K12139
|
Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
吉田 俊介 京都橘大学, 工学部, 教授 (90395153)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 立体映像 / 3Dディスプレイ / レンダリング / ゲームエンジン / 裸眼立体視 / シミュレータ / コンピュータグラフィックス / バーチャルリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
多数のプロジェクタを光線源として用いる光線像再生式テーブル型3Dディスプレイにおいて、所望の画質で3D映像を再生するための技術を確立する研究に取り組んでいる。本方式の画質向上には、原理的に大量のプロジェクタを円環状に配置する必要があり、これが実装上の課題であった。本研究を通じてプロジェクタ毎の解像度や画角、台数や円筒鏡の半径などの各種パラメータの関係性を明らかにすることにより、所望の画質を計算機に伝えることでトレードオフを鑑みて最適値を設計する手法が確立できると考える。 初年度は、各種パラメータに従って立体映像を再構成するための原理を、計算機上でシミュレーションするモデル化について着手した。また、シミュレーション環境を一から構築することは非効率であるため、ゲーム開発等に広く用いられる既製のゲームエンジンを流用し、モデルをゲームエンジン内にて構築し、再生する3D映像のシミュレーション部分には既存のレンダリング機能のパイプラインを利用し、再生原理特有のレンダリング処理を新規開発する方法での検討を進めた。ゲームエンジンを用いる利点として、他にもパラメータ調整のインタフェースを設けることが容易になり、リアルタイムに変化量を反映してレンダリングさせることも比較的実装しやすい点が挙げられる。一方で、一般的な3DCGの絵作りとは異なる原理により立体の再生像を作る仕組みのため、既存のレンダリングアルゴリズムをそのまま用いることはできず、パイプラインの仕組みを考慮したうえで幾つかの工夫が必要となる。本年はレンダリングアルゴリズムのシェーダをコーディングしなおすことによりシミュレーション画像を作成する方法を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本年は計算機上でシミュレーションするためのモデル化の研究を進めた。円筒鏡の半径を操作することでプロジェクタ台数を任意に調整できる仕組みについては既発表論文で明らかであるが、他の裸眼3D映像の絵作りに係るパラメータについては未だ明らかでなかった。まずは、プロジェクタ毎の解像度や画角と、光線数や角度あたりの光線密度との関係について調査し、再生像にどのように影響するかの検討を行った。また、シミュレータの実装環境であるゲームエンジンのレンダリングパイプラインについて調査し、シェーダ部分での立体映像再生の原理の再現について検討を行った。さらには、再生像に寄与するパラメータをゲームエンジンのインタフェースを流用しながらリアルタイムに調整できる仕組みについても調査し、予備実験を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度からは、得られたモデルを基にして、ゲームエンジン内でのシミュレータ構築に取り組む予定である。また、シミュレーションから得られたパラメータによる実機試作にも着手する。ただし、プロジェクタを全数揃えた完全な実機試作には多額の費用が必要となることが容易に想定できるため、本研究においては費用対効果を考慮したうえで、実機試作は原理検証に必要な一部にとどめ、シミュレータ上で実機を模擬できる環境の構築を目指す。そこで、シミュレータの開発と実機開発とを並行して進め、理論値との差異を吸収するデータを実機から得る手段を確立したり、光学的な合成処理などによって限られたプロジェクタ台数による再生結果をバーチャルに倍化して利用する手段の検討などを試みる。
|
Causes of Carryover |
本来2年目に予定していたプロジェクタやマイクロコンピュータの調達を、昨今の半導体不足の影響により調達の見通しが立ちにくくなることが予想されたため、2年度分予算を前倒し請求して一部物品の調達を1年目に実施することとした。調達過程における見込み額との差異や未調達の部材などがあることから次年度使用額が生じており、これらは実機構築用の予算とする予定である。
|