2022 Fiscal Year Research-status Report
ベイズ決定理論に基づく広範な問題に適用可能な統計的因果推論フレームワークの構築
Project/Area Number |
22K12156
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀井 俊佑 早稲田大学, データ科学センター, 准教授 (00552150)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 統計的因果推論 / ベイズ決定理論 / 構造的因果モデル / 平均介入効果 / 条件付き平均処置効果 / 部分線形モデル / 能動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,統計的因果推論における因果効果の推定に対する様々な数理モデル・推定手法をベイズ決定理論の立場から見直して整理し,ベイズ決定理論に基づく統一的な統計的因果推論フレームワークを構築することで,既存手法よりも適用範囲が広く,因果効果を高い精度で推定可能な手法を開発することであった. 2022年度は,部分線形モデルとよばれるモデルにノンパラメトリックベイズモデルの視点を取り入れることで拡張したモデルにおいて,条件付き平均処置効果とよばれる因果的な量をベイズ的方法で推定するアルゴリズムを提案し,その性能を理論的・実験的に解析を行った.統計的因果推論の分野では近年,因果効果の異質性に注目した研究が多く行われているが,本研究もその一種である.関連する手法として,Double/Debiased Machine Learningとよばれる手法が広く用いられているが,実験によりこの手法と比較して条件付き平均処置効果を高い精度で推定できることを示した.本研究の研究成果は現在国際会議に投稿中である. また,部分線形モデルにおいて,因果効果推定を目的とした能動学習の手法を提案し,その性能を実験的に解析した.例えば,ある新薬の効果を明らかにしたい場合,できるだけ治験への参加者数を少なくしたもとで効果を高い精度で推定したい.本研究は,このように少ないサンプルサイズで処置変数の目的変数に与える因果効果を高精度で推定した問題で有効である.この研究成果については国際会議で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,既存の統計的因果推論のモデルにベイズ的な視点を取り入れることでモデルの拡張を行い,拡張したモデルのもとでの因果効果の推定問題を決定理論の枠組みで定式化し,ベイズ最適な決定法を導出し,その性質を調べることであった.2022年度はこの研究計画通りに進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に得られた研究成果については実験的・理論的解析を追加し,国際会議で発表を行い,論文誌に論文を投稿する.また,2022年度後半に行った因果効果推定を目的とした能動学習の研究においては新たな研究の着想が得られたため,この研究を具体化する形で新たな研究を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,一部の国内学会・国際学会に参加することができず,一部の研究成果は予定通り発表することができなかった.これらの研究成果については2023年度に発表予定である.
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[Book] データ科学入門I2022
Author(s)
松嶋 敏泰、早稲田大学データ科学教育チーム
Total Pages
192
Publisher
サイエンス社
ISBN
478191540X