2023 Fiscal Year Research-status Report
階層的パターン抽出と最適ルール集合獲得に基づく説明可能動的グラフマイニング
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22K12173
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
尾崎 知伸 日本大学, 文理学部, 教授 (40365458)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | データマイニング / 説明可能AI / グラフマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、 既存の説明可能AI技術に関する問題点を軽減すると共に、深層学習モデルの安全な利用を促進するため、深層学習モデルから高い解釈性・了解性を持つ構造化知識を獲得することを目的としている。この目的に向け、本年度は(1)深層学習技術を用いたファッションコーディネートのモデル化、(2)ニューラル確率解集合プログラミングを用いた人狼ゲームにおける役職推定モデルの構築、(3)帰納的解集合プログラミングを用いた落下型パズルゲームにおける配置戦略の獲得について研究を行った。 深層学習技術を用いたファッションコーディネートのモデル化に関しては、タグ付きファッション画像を対象に、ファッションアイテムの組み合わせであるコーディネートを評価するための互換性および多様性の計量空間の構築を行った。ここで互換性とは、コーディネート内におけるアイテム同士の相性の良さを表し、また多様性とは、コーディネート間の視覚的な非類似性を表す。両空間の構築において、画像埋め込みを基本とする対照学習技術を利用している。 ニューラル確率解集合プログラミングを用いた人狼ゲームにおける役職推定モデルの構築に関しては、ニューラルネットワークの出力を確率的な述語として扱う論理プログラミングの枠組みを用い、人狼ゲームにおける発言をニューラルネットワークで処理すると共に、ゲームルールや傾向を解集合プログラムで表現することで、論理的な矛盾を排除し、またプレイヤ間の関係を考慮した確率的論理推定モデルを実現している。 帰納的解集合プログラミングを用いた落下型パズルゲームにおける配置戦略の獲得については、ぷよぷよゲームを対象に、ぷよ配置に関する選好基準の抽出を行った。具体的には、帰納論理プログラミングシステムILASPを用いることで、論理表現された盤面情報から配置に関する選好基準を弱制約の形で獲得している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人狼ゲームや落下型パズルゲームなど、動的グラフとして表現可能な対象に関する論理モデルの開発や、それに対する深層学習技術の併用を行っており、研究目的を達成するために不可欠となる深層学習および論理プログラミングに関する基礎技術については一定の成果が得られていると考えられる。 その一方で、動的グラフを対象とした深層学習モデルの構築や、特徴抽出に相当する階層的なパターン抽出技術に関しては、現状、基礎的な検討は終了しているが、具体的な実装や十分な実験・検証を行うことができておらず、その点で「やや遅れている」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めてきた、グラフデータを対象とした深層学習モデルの開発、及び、系列データを対象とした説明可能AI技術の高度化、論理を用いた学習システムの開発を継続するとともに、動的グラフを対象とした深層学習モデルの構築を行う。 開発したモデルを対象とした階層的特徴パターンの抽出に関しては、入力データに対する中間層出力も対象とした特徴的部分構造の抽出と、分散表現を通じたグループ化を繰り返すことで、階層的なパターンの抽出を試みる。加えて、知識グラフの枠組みを併用することで、解釈性を高める工夫を検討する。 さらに抽出されたパターンを語彙とし、ネットワーク上での語彙の連結関係を述語表現するとともに、彙間に成立する多様な関係を、論理ルールの集合として抽出する技術の開発を目指す。この際、確率論理プログラミングの枠組みを用いることで、より柔軟なルール集合の獲得を実現する。
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Causes of Carryover |
次年度使用が生じた理由は、既存の計算機リソースを有効利用することに加え、大学院生による計算機実験補助を行わなかったことにより、これらに係る経費が抑制できたことによる。 令和6年度は、研究の更なる促進のため、大学院生による実験補助と実験環境強化のための計算機の購入を予定している。また、対外発表を行うと共に、それらを取りまとめ雑誌論文の執筆を行う。
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